隣にいるのは

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「ねぇねぇ、莉子ちゃん。湊人くんとケンカしたの?」 「……!」  登校班でいつもの待ち時間。あやちゃんからの問いかけに思わずむせそうになる。 「な、なんで?」 「だって、全然湊人くんとお話しないから」  す、するどい! あやちゃん。  あれから二日。相変わらず湊人の顔が見られない。  意識し過ぎだってわかってるけど、顔を見ると、湊人が言ってくれた言葉を思い出しちゃうんだもん。  これは、恋? それとも思い込み? 『好き』  たった二文字の言葉。その感情が。  私にはまだわからない。  だって湊は『ずっと好きだった』って言ってくれたんだもん。  単純に好き、じゃなくて、ずっと好き。  それにこたえるには、ちゃんと私も心から『好き』って言える気持ちじゃないと。  ポケットに忍ばせたミサンガを、思わず握りしめる。モヤモヤを抱えながらも選んだ色。  今でもこれが正解かはわからないけど、自分の気持ちがはっきりわかるようになったら、このミサンガ、渡せるんじゃないかな。
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