催眠商法には気をつけろ!?  ~ある春の日近所の公民館で~

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※この物語に登場する会社名、商品名等は実在するものではなく、物語用に変更したものを使用しております。 ※この物語のキーワードともなる〈催眠商法〉〈サクラ〉の意味が分からないという場合は作品紹介・あらすじをご覧ください。 「先輩~聞いてくださいよ!私の高校の時の友達にちょっと抜けてる感じの天然っぽい子がいて、その子が不思議な体験をしたらしいんですよ!なんて言ってたっけ?えーっと、確か…。 『私ね、最近地元の公民館で塾の手伝いしてるの。公民館の一室を借りてやってる訳だから隣の部屋も違う人が借りてることになるでしょ。昨日はいつもと違う人が使ってたみたいで、その時の隣の様子が、って言っても音だけ聞いただけなんだけど、すごく興味深かったの。聞いてくれる? 午後の一時くらいだったかな~。急に隣の部屋から音楽が流れてきたの。なんというか童謡っぽい感じ。そしたら続々とお年寄りのおばあさん達が集まってきてるみたいで声が聞こえて。謎の集会が始まったの。若いお兄さんが司会してるみたいで「私たちの会社はめでたく今年で創業10年を迎えました、社員10名の小さな会社です。」って話し出した。「今日紹介するのは、美肌を保つのに役立つサプリメント〈プログリさん〉です!」 だって。もしかして公共とか家庭の教科書で稀にみる催眠商法!?って、実際に遭遇したのはじめてだったから、不謹慎だけどにワクワクしちゃった。それでねそのお兄さん、おばあさん達に必死に説明してて、映像とか流してた。その映像の音がお年寄り向けだからか、また大きくて大きくて。 でも不思議なんだけど隣からの音、同じ塾の子ども達はきにしてないっぽくて!聞こえてないはずないと思うんだけどね…。その話はまあ、どっちでもいいか。 それで「この商品はコラーゲンの働きを助けるんです!」とかお兄さんが話してたんだけど、なんか急に大げさな相槌打つ人が出てきたのね。「なるほど~。」とか「う~ん。はいはい。」みたいな。その人の声明らかにお年寄りじゃなくて、これって世に言う〈サクラ〉かな?この人がすごく面白くてね。司会のお兄さんが「この商品、何かに似てるな~って思った人いると思います。そうです!あの有名なCM!ぐるぐるぐるぐる…」って、おばあさん達にこの先を言わせようとしてたみたいなんだけど。その時、あのサクラっぽい人が一際大きい声で!「なるほど~!」って言ったの!いや、そこは「グル○サミン」でしょ!って心の中で突っ込んじゃったよ。 そんなこんなで商品の説明が終わって、お値段の発表。「他社よりお安くご用意してます!なんと一袋3万9千8百円!!!」高すぎーーー!ってなっちゃった。「今回はご予約だけでも結構です!」って…。年金暮らしのお年寄りに何万円払わせるの??? それで最後に、「幸運を呼び寄せるお菓子をプレゼント!ほしい人はこちらへどうぞ~。」だって。典型的な催眠商法だよね! 私もその後すぐ帰る予定だったから隣の部屋を覗いてみたんだけど、人一人いなくて。その集会が終わってから5分もたってないのに!その代わり、暗い部屋の隅に古びたラジカセが一つ置いてあった気がする。あんまり覚えてないけど。おばあさん達足早すぎ!』 って感じの話だったかな?これって悪徳商法怖いね~、とかおばあさん達大丈夫かな~って話で済むかもですけど…。違う考え方も出来るじゃないですか。まあ、私が卒論のために怪談とかの研究してるからかもしれませんけど。たしか先輩もそっち方面の研究でしたよね?塾の子供達は聞こえてないみたいっていうのと、見に行ったけど既に誰もいなくて置いてあったのは古びたラジカセだけっていうのが引っかかって…。もしかして私の友達、異界に半分入り込んでしまったんじゃないかな、なんて。あわわ!いつになく先輩が真顔になってる!何言ってんだって感じですよね?私の推論は忘れてください!」 「いや、そういう例、稀にあるらしいよ。」 「え。」 ※なお、この物語は一部再構築しておりますが、九割方ノンフィクションです。
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