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PVP開始
ギルドJKの対戦は突然始まった。一人、また一人と消えていく。リアルタイムで観戦することは出来ず、参戦していないフィリアも観戦出来ないときた。これは完全に対戦相手の情報を第三者に知らされないようにしてる処置だと思われた
それでも対戦すれば対戦相手の情報は得られる。だが、それ以上の情報の取得は不可。つまり、フィリアが様々な対戦を観戦しギルドメンバーに伝えるのは不可能なのだ
「私の最初の相手は………初めましてですよね?」
「そうね。私は女性だけのギルド、アマゾネスのリーダー、アポロよ。貴女の事は一方的に知ってるだけだわ。貴女との対戦を望んでただけに光栄ね」
「そうですか。一応確認ですが………対戦申請は通らなかったのです?」
「当然よ! 私は強い自信があるし実績もある! これでも中級上位のプレイヤーなのだから」
「それでは楽しみです。中級はつまらないと思ってたところなので」
そう言うとアポロは気に食わなかったのか武器をアイテムボックスから取り出して構えた。そして、鋭い視線をスコタディに送り言い放ったのだ
「調子に乗るのも程々にしなさいよ? 倭国だけが中級の全てではないわ!」
手にした武器は十文字槍と呼ばれる得物。それを器用に振り回してスコタディを攻撃してきたのだ
『連続突き』
しゃっくりの持つ槍はジャベリンと呼ばれる槍で投擲を主にした槍となってる。薙ぎ払うや突く攻撃よりも投げることを重視した武器だ
逆に目の前のアポロという女性の武器は十文字槍。扱いが難しく熟練の槍使いでも使わない武器だ
だが、突けば槍、払えば薙刀、引けば鎌と言われている武器でもあり攻撃のバリエーションが豊富な武器でもある。つまり、連続突きは突きだけが攻撃だけではなく引く瞬間もまた攻撃となっているのだ
「………」
それを一瞬で気付いたスコタディは後ろに大きく下がっていく。身を捻って避けるのは不利と考えての事だ。突くだけの攻撃ならば避けることも可能だが、突いて引くの二連続攻撃にまで直ぐ様対応するのは難しかった
「逃がさない!」
『ウィンドスラッシュ!!』
正面から飛んでくるスラッシュの攻撃。剣での攻撃スキルも習得出来る上に扱えるとなってかなり厄介だ
扱えるようになればこれほど合理的な武器はないかもしれない
だが、スコタディは慌てることはしなかった。飛んでくる攻撃を簡単なステップで躱して冷静に次の攻撃を観察する。それが逆に気に食わなかったのかアポロの攻撃は更に苛烈になっていった
「その余裕の顔が気に入らないわ!」
『ニードルスピア』
またもや遠距離攻撃で牽制してくるアポロ。連続で放たれた鋭い突きによる遠距離攻撃はスコタディを襲うが十文字の特徴を生かしてなければ避けるのは容易。スキルを使うことなく身を捻って簡単に攻撃を避けていく
「くっ? これならどうよ!」
『五月雨突き!』
ニードルスピアを避けられたのは少々悔しかったがその間に接近には成功したアポロはまたもや攻撃スキルでスコタディを追い詰めていく。五月雨突きは連続突きの上位スキル。それだけに普通は簡単には避けられないのだが………
「ハァ。単調で面白くないですね」
『魔神の手』
「う、嘘?」
魔神の手で十文字槍を掴み攻撃を受け止めるスコタディ。来るとわかっていたからこそ受け止められたのかもしれないが普通は簡単には受け止められない。それだけのスピードで放たれている筈なのだから
「何が嘘なのかわかりません。狙ってくる場所がわかれば後は構えるだけ。貴女は必ず急所を最初に狙ってきています。ならば心臓と脳の二箇所の攻撃に待ち構えるだけ。後はタイミングをあわせれば問題なしです。それが何か?」
「………ふ、普通は出来ないわよ!」
「おかしいですね? 私のギルメンがSNSで宣言したと聞いてますが? 私は頂点の天空の剣を引きずり下ろします。私が頂点に立つのです。これぐらいの芸当をやらなければ立てないかと」
アポロは話題になっていたことをすっかりと忘れていた。あれはDMSをやるプレイヤーなら誰もが知っている大宣言だ。だからこそ腹も立ったし簡単に言うなと思ったのだが口だけではなかった。本当の強さというものを今この瞬間に垣間見てしまったのだ
「これ以上のスキルの使用は必要ありませんね」
魔神の手は全部で四本。残った魔神の手でアポロを素の攻撃力で殴り倒していく。スキルもなにも使用しないただの拳による攻撃だ。そんな連続攻撃を避けようとしているのに何故か一つも避けられないまま殴られ消えていくアポロ。スコタディは溜め息を吐いて呆れて愚痴を溢した
「これが避けられない攻撃というものです。学習していってくださいね」
完全に消えていったので聞こえていないのだが言わずにはいられなかった。スコタディにとってそれだけ弱く情けない存在だったのだから
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