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スコタディVSトレイン ②
スコタディの行動は早かった。四本のロックアームを四方に動かし防御体制を取る。どの方向から攻撃されても問題ないようにしたのだが、次の瞬間にはダメージエフェクトが飛び交ってしまった。ダメージこそ少ないものの何処から飛んでくるかわからない銃弾に当てられてしまったのだ
「どうなってるんです?」
スコタディは少しだけ取り乱してしまった。それは四方を確実に囲っていると言うのに銃弾が確実にスコタディを襲ってくるからだ。しかもスコタディが取った行動が不味かった。四方を囲ったことにより視界が遮られ攻撃の初動が全く見えない。直ぐに切り替えロックアームを動かして全方位見えるようにした
「!?」
僅かな異変。それを感じ取ったのは警戒していたお陰だろう。僅かに何かが跳ねる音が響き直ぐ様飛び退くとスコタディがいた場所に何かが通りすぎた。その正体にスコタディは直ぐ様気が付いた。跳弾だと
「そう言うことですか」
よく目を凝らせば銃弾があちこちを跳ねて飛んでるのがわかる。だが、恐ろしいのはどの銃弾も計算されて跳ねてるようでスコタディに向かって襲ってくることだ。この場所にいたら不味い。そう考えて動こうとすると………
「ッ?!」
スコタディの目の前を銃弾が通りすぎた。動いても当たる。動かなくても当たる。これを計算の上でやっている。偶然ではあり得ない。完全にスコタディの動きが読まれてるのだ
「………逃がさない」
スコタディに決して聞こえない音量で小さく呟くトレイン。完全にゾーンに入り地面に伏せてスコープを覗く姿は正に狙撃手そのもの。スコープの中心には常にスコタディがいる。その一挙手一投足を絶対に見逃さないようにしていた時、スコタディは愉しそうに嗤った。そして、振り返った瞬間にトレインと目があったのだ
「!?」
あり得ない。見付かる訳がない。なのに、スコタディの両の眼はしっかりとトレインを捉えロックアームを放ってきた。当てずっぽうなのか? ここにいると確信する何かがあったのか? それは今のトレインにはわからない。だが、慌てるようにトレインは逃げたのだ
「やはりそこでしたか」
その言葉の意味は確信はなかったがそこにいると考えての事だ。つまり、どうやってか知らずかトレインの居場所を見付け出したのだ
『武装変換。擲弾銃』『貫通弾装着』
トレインは身を捻り避けると同時に反撃に出た。ロックアームが次から次へと飛んでくるので撃ち落とし破壊しようと思ったのだ。だが、スコタディはそんな甘い考えを許してはくれない
「無駄ですよ?」
「へっ?」
銃弾が弾かれロックアームだけが勢いを消すことなく飛んでくる。スコタディはわざと視界を不利になるように隠したのだ。スキル、土いじりにより材質を変化させることを悟られないようにだ。そんなことが行われてるとは露知らず弾かれるとは思いもよらず逃げたくても呆然としてしまい初動が遅れ攻撃を受けてしまったのだ
「痛いん」
ダメージエフェクトが大きく飛び後ろに吹き飛ばされ壁へと激突する。逃げようとしたのだが運が悪くスタン状態へと陥ってしまった
『ぽ、ポイントA!!』
目の前から消えて別の場所へと現れたトレイン。どうやらこれが姿を消していた時の移動方法だと判明した
トレインのスキルには地点登録というものがある。これはあらかじめ登録して地点に瞬間的に移動するスキル。このスキルの効果で戦闘開始時はあちこちに移動していたと言うのもあった。こうすることで緊急回避にも攻撃にも使える便利なスキルだ
だが、スコタディにはどうしても解けない謎がある。それはスキル使用のクールダウンや回数に制限はないのかと言うものだ
ステルスというスキルを使うのはいいがあれだけ強力なスキルを短時間に二度使用している。それだけじゃない。武装変換というスキルもまた短い期間で使っている。これは明らかに異常でしかない。その正体を見抜かないといつまでも逃げられてしまうのだ
「ハァハァハァハァ」
「………」
どうやら今の攻撃は思ったよりもダメージが大きかったらしい。そして、表情には余裕がない。確実に追い詰めてるのは間違いないようだ
だが、スコタディもまたあまり余裕がなかった。観察することに周知しダメージをあまりにも受けすぎた
トレインの攻撃力は低いのは全員が知っていて銃弾一発一発は威力が低い。だからこそ受けても平気だと考えて多少のダメージは多めに見たが受けすぎてしまった
元々、魔法使いと言う職業を選択することにしたためLPは普通のプレイヤーの後衛職よりも多いが低いことには変わらない。だからこそ多少のダメージを受けて観察もしたし余裕を持てたのだがこれ以上のダメージは不味い
つまり、どちらも余裕がなく次の攻撃で勝負が決まる
次の攻撃を与えた方が勝利の女神が微笑んでくれるのだ
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