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ゲームは突然に
DMS
ダンジョン・メーカー・ストラテジーの通称で世界を震撼させたゲームだ
たった一人からでもプレイが出来るしギルドを組んで楽しむことも出来る
やることは単純明快
自分だけのダンジョンを作り運営し育てると同時に魔物も育て進化させる
魔物の種類は数千種類となっていて、戦うのが得意な魔物や生産が得意な魔物など様々な魔物が用意されている
これらの要素を組み合わせ他のプレイヤーのダンジョンを攻め落とし自分のダンジョンを守ること
シンプルでわかりやすく奥が深い最新のVRゲームとして世界中の人たちがプレイしていた
そして、ここにまたDMSを始めようとしていた二人の少女がいた
「咲樹。おはよっ!!」
「えぇ。おはようございます」
二人は今時の女子高生で世間ではお嬢様学校と呼ばれる高校に通学している
咲樹と呼ばれた彼女はリムジンから降りると周囲から歓声が上がるほどの美人だ
そんな咲樹に明るく話しかけたのは絢音と言う女の子で可愛らしいのに運動部のエースとして活躍していて様々な部活を掛け持ちしている子だ
「相変わらず美人だね」
「見た目や身嗜みには気を使っていますので」
「私なんて適当だよっ!! アハハハハ」
「顔はいいんですから気を使いなさい」
そう言いながら絢音の寝癖を直していく咲樹。二人は大の仲良しでもありライバルでもあった
文武両道、才色兼備、羞花閉月。そんな言葉しか見当たらない咲樹に対し
廓然大公、勇猛果敢、万里一空。誰にでも平等に接し明るく努力を怠らず常に進化し続ける絢音は咲樹からしても憧れの女の子だ
自分にはないものを全て持っている。だからこそ、親友と呼びライバルとして認定しているのだ
「それよりさ? DMSって知ってる?」
「えぇ。存じています。お父様の会社もそれの恩恵を受けておりますから」
DMSは人気のあまりあらゆる分野に影響を及ぼしていた
生産があることから食料も生活の道具も武器も自分で作らねばならない
それ故、生産に必要な道具を作る知識をあらゆる分野からプレイヤーたちは吸収していた
そこに商機を見出だした企業が多くいた。わかりやすく言うなら簡易的な生産方法を作れる書物や簡易キットを販売することで実際に作って貰いゲーム内で生かして貰おうとしたのだ
全世界の人口は150億を超えたこの世界で30億もの人口がこのゲームの世界を楽しんでいると言われている
目を付けない方がどうかしてると言えるだろう
それがどうかしたのか? そんな言葉を口に出さず目で訴える咲樹
絢音は笑顔で咲樹にある提案を出したのだ
「一緒にやらな………」「お断りします!」
「はやっ!!」
「やる時間もありませんしゲームに興味もありません」
「えぇ! 咲樹とならやってもいいと思ったんだけど………やらないなら私もやらない」
話を聞けば親からテストとしてプレイして欲しいとお願いされているらしい
そこには新たなエリアが解放され魔王と呼ばれるプレイヤーを作ることを目的とするようだった
その魔王に絢音はなるように言われ初代魔王として君臨し運営して欲しいのだとか
「何で私を誘うのです?」
「一人じゃ寂しいから」
「………」
本当にこの子は。そう呟き心のなかで照れてしまって可愛いと思ってしまったことは口には出さない
正直、やってあげたいが現実的に不可能だ。成績を落とすわけにはいかない。咲樹の家はかなり厳しく一定の成績をキープしていないと独り暮らしをさせて貰っているのに実家に戻され家から出れなくなってしまうのだから
そんな悩ましい一日を過ごし家に帰宅すると………
「お、お父様?」
「待っていたぞ。学校はどうだ?」
リムジンの送り迎えで家がある高級マンションから帰宅すると父親が家のなかで待っていた
最後に姿を見たのは中学三年の夏。進学の話をし独り暮らしをしたいと提案した時だ
あれから二年も経過している。それだけ貴重で滅多に会えない父親が目の前にいるのだから驚くのは当然だ
「楽しく過ごさせて貰っています」
「そうか」
「………」「………」
会話が続かない。父親らしいことをして貰った覚えはない
だが、独り暮らしをさせて貰い生活費を出してくれているのは父親だ
感謝していないわけではないが、あまりにも遭遇しないので赤の他人のようにも感じてしまう
それだけにどう接していいのかもわからなくて困惑していた
「実は話があってな」
やはりか
そんな気はしていた。父親が何の用件もなく顔を見に来るわけがない
娘の顔を見たいから。そんな理由で会いに来るような親ではない
何故、そんな希望を抱いてしまったのか。そんな自分を責めてやりたいが表情に出すことなく話の続きを促した
「DMSを知ってるか?」
「存じてます」
「お前にテストプレイをして欲しい。新たなコンテンツとして魔王を作ることにしたと運営から聞いてな。そのテストプレイヤーとして初代魔王をやって欲しいのだ」
「それは命令でしょうか?」
「そうだ。拒否することは許さん」
「では、やるしかありませんね」
こうして咲樹はDMSをプレイすることになった。絢音に報告すると飛んで喜びその日の夕方かからプレイすることになり早速、設定から入ったのだった
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