滑稽ですね

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滑稽ですね

「成果は?」 「順調!!」 二人は今日の成果を報告しあった。ミロは初心者たちが集まるなかでも攻略率が低いダンジョンを全て攻略していた 攻略が難しいほどDPは手に入るのだから二人はかなりの収入を得ていた 「そっちはどうなの?」 「見事に餌に食い付いてくれましたよ」 ミロはスコタディに話を聞くと相当性格が悪いなと思った 先ず、スコタディがやったことは二階層の魔物の配置。黄金スライムと呼ばれるDPを多く落とす魔物。初心者では倒しにくいゴースト。初心者向けのスケルトンだ その次に取り掛かったのは迷宮の創作。ゴーストが壁をすり抜けることが出来る壁を選択した デメリットとしてプレイヤーにも破壊出来るようになるが、初心者でそれだけの攻撃力を持ったプレイヤーはまれだ 先ず、破壊することはしてこないと判断した。いや、壊そうとしても時間がかかるので諦めると考えたのだ そして、迷宮のように作成し行き止まりなども作っていく。ここで性格の悪さが出た 先ず、壁の下に黄金スライムだけが通れるような通路を作成 行き止まりと見せかけて陰影の効果で人一人が通れるような細くて正しい通路を隠した。壁を全て黒くしてるのもこれが理由だ その通路にはトラップは仕掛けない。だが、抜けたさきに用意してるのだ。警戒して安心しきった頃にトラップなど信じられない行為だろう そんな通路が全部で七つ。そのうちの二つが抜けた先にある 二個目に一つ。六つ目にまた一つとなっていた。使うトラップは落とし穴とシンプルかつ極悪だ そして、スコタディの性格の悪さはここでも発揮する。トラップがあるように見せかけて何もない空のトラップを何個も用意したのだ 一階層はトラップの山に対して二階層は偽物しかない。こうすることでDPを消費することなく警戒させ進行を遅らせる 警戒が抜けた頃にトラップを仕掛けてるのでミロからすればよく思い付くなと思ってしまった 初心者からすれば黄金スライムは美味しい魔物。絶対に倒したくなる。落とす素材も高価な素材でDPも高いとなれば狙わない理由はないだろう そんな黄金スライムを囮にしたトラップの数々とゴーストの配置 性格がネジ曲がってるんじゃないかと思えるほどだ 「正確悪っ!」 「そうですか? ボス部屋は簡単に攻略出来るのですから優しいかと? 全体で三割の方は攻略してますし」 「………残りの七割はトラップやゴーストの餌食なんだよね?」 「それがなにか?」 笑顔が怖い。そんなことを言えたらどれだけ楽か スコタディは意外とナイーブで傷付きやすいことを知ってる これ以上突っ込めばいじけてしまうのでミロは飲み込むことにした 「でもさ、一回来たらトラップの位置とかわかって攻略できちゃうんじゃ………」 「だからこその黄金スライムなんですよ。彼にはAGIを極振りしてます。一撃でもダメージを受ければ死にますが中々当たらない。必死になってる頃にゴーストに見付かり全滅。そのパターンの方が殆どですよ」 人の欲を利用した天然のトラップとも言える。ちゃんとミロには真実を伝えておいた 黄金スライムが逃げる方向に必ずゴーストが来る方向になるようにしていると 何度も挑戦したくなるのはDMSは死んでも失うのは生命力………LP分のDPだけ LPが100ならDPも100しか失わない。蘇りのコストが低いので死んでもデメリットが低く何度もチャレンジしたくなる。そんな精神をスコタディは利用してるのだ 最低だ 人としてどうかしてる 正確が悪すぎる そんな言葉を飲み込んで、スコタディは本当に賢いね。と、だけ伝えておく 機嫌を損ねたらしばらくはゲームにログインしないかもしれない ご機嫌取りもミロの仕事だと割り切ってるのだから 「でもさ? こんなにも早く黄金スライムがいるって知ってるんだろうね?」 「私が教えましたから」 「………」 こいつちゃっかりやらかしてる。と、心のなかで叫ぶミロ プレイヤーは個人間でDPの取引が出来る。これは商品………武器や防具、アイテム等でもなくても情報も売買出来る スコタディは自分のダンジョンの情報をプレイヤーたちに売ったのだ いい装備をしてるものには若干高めに。装備が安物の本当の初心者には安めに設定して様々なプレイヤーに売り渡しておいた こうやってDPを稼いでもいたのだからちゃっかりしてるなとミロは感心していた 「ゴーストを倒せるプレイヤーはいないの?」 「いますよ。少ないですが存在はします。そのようなプレイヤーが最下層に辿り着いてしっかりと攻略していきます。堅実なプレイで堅実に稼ぐ。そのような人には逃げる黄金スライムは倒せたらラッキー程度にしか思ってないでしょうね」 「でもさ? 攻略されたらDP失うんでしょ? いいの?」 「DPはダンジョンの難易度で失うポイントが決まります。弱い魔物を配置しトラップを多めにしてますが、トラップは効果が弱いものばかり。しっかり対策していれば誰にでも攻略出来てしまいます。ですので難易度としては低いので失うポイントは低いんですよ」 「………本当によく考えるね」 本当に誘って正解だったと改めて思った。瞬時にゲームの攻略法を理解し収支を計算し人の心理を利用する ここまで来るとミロよりもスコタディの方がゲームを楽しんでるのではないかと思えるほどだ 「他に隠してることない?」 「隠してるとは失礼ですね。スケルトンの中に数体だけ限界までLvを上げた個体を紛れさせてるだけです!」 最低だ。雑魚だと思わせて雑魚ではないスケルトンをいれるなんて信じられない 人に対して遠慮とか優しさとかないのか! とは言わない 本人は楽しそうに報告してるし引っ掛かってる姿を見て楽しんでるからだ 「………咲樹。楽し?」 「えぇ。こんな単純な罠に引っ掛かる人を見るのは最高ですね。見て下さい! 2連続の落とし穴に嵌まってますよ。本当に滑稽ですね!!」 「………いい子のはずなんだけどなぁ」 ダンジョン内の様子を楽しそうに眺めながら二人は終始笑いあった そんな日々をしばらくは続けるのだった
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