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二人の勝負
「咲樹ぃ!!」
「知りません」
「今生のお願い"ぃ!」
「自業自得でしょうが!」
季節は夏になりもうすぐ夏休みが訪れようとしていた
学生には嬉しい夏休み。だが、その前に大きな試練が待ち構えている
期末試験が
絢音はすっかりDMSの虜になってしまっていた
毎晩部活が終わると夜遅くまでDMSの世界にダイブしプレイし続ける
新しいダンジョンが出来ると真っ先に攻略しに行く
勿論、難しいと呼ばれるダンジョンにもチャレンジし必死に攻略し続けていた
そんな絢音とは裏腹に咲樹はゲームは程々に毎晩の予習を欠かさなかった
肌に悪いからと遅くまで起きることはせずDMSをしたいのを必死に我慢していたのだ
こっちは我慢していると言うのに毎日楽しそうに報告しやがってと心のなかで悪態を吐いていた
そんな楽しい毎日を送っておいて勉強を見てくれ?
殺してやろうかとしか思えないのだから
「咲樹にしか頼めないのぉぉぉ!!」
「毎日楽しそうに過ごしといてよく言えますね?」
「ごめんよぉ!! でも、咲樹にとってもいいことあったじゃんかぁ!!」
必死に泣きながら懇願する絢音。本人からすれば死活問題で赤点を取ればDMSが出来ないかもしれない
そうなってしまったら楽しき夏休みが地獄へと変化するのだ
「………否定はしませんが」
咲樹は未だにLvは1のままでダンジョン作成を楽しんでいた
他人が自分が考えた罠に嵌まって苦しんでる姿はまさに滑稽
こんな最高のゲームをなぜやらなかったのか、自分を責めてやりたいぐらいド嵌まりしてるのだ
そんな絢音の毎日の報告は本当に参考になっていた。他人のダンジョンに未だに行ったことがない咲樹にとって他人のダンジョンは参考になることばかり
自分でも気付かない事が多々あり勉強になると思っていたのだから
そんなテストを終わらせ………何だかんだと咲樹は勉強も見てしまった
彼女だけが補修になってしまえばゲーム内では一人になってしまう
それはそれでいいかもと思ったのだが、絢音の駄々に負けてしまった形だ
「さて? 今日から夏休みだけどどうする?」
「私もダンジョンに向かおうと思います。噂では対人戦があるらしいので」
「イベント告知あったもんね」
夏休みに入る少し前、運営からイベントの告知があった
イベントの内容は知らされていないが複数あるとだけ発表があった
ネットの噂では対人戦がそろそろあるのではないかと噂になっていたので、スコタディは参加してみたいと思っていたのだ
「ミロも参加するのでしょう?」
「もちもち! 狙うはLv20の部優勝だね」
「優勝は私なので準優勝止まりですね」
「………言ったね? 私に勝ったことない癖に」
「か、勝ったことはないですけど、ゲームでは負けません!」
二人は顔を見合わせバチバチと火花を散らす。二人は親友であると共にライバルでもある
運動や武道ではミロには勝てないが勉強ではスコタディが勝利してる
得意の知恵でスコタディは絶対に勝ってやると考えていた
「スコタディは戦闘スタイルはどうするん?」
「私は魔法使いにします」
「っぽいわ」
ミロが近接戦闘で戦うなら同じ土俵で戦うだけ無駄
彼女の戦闘に対する天才的センスは簡単には超えられない
ならば、得意な頭を使って戦う方が勝機があると考えたのだ
「イベントが終わるまで別行動です。私は私でダンジョンを攻略してきますから」
「えぇ!! さーみーしーい」
「はいはい。どっちが何回、ダンジョンを攻略するか勝負しますよ。負けたら罰ゲーム、相手の言うことを聞くこと」
「シャァァ!! 負けないからね!」
簡単に挑発に乗った。そう思いながらもスコタディは行ってしまった友人の背中を見送った
スコタディはまだLvも上げてなければスキルも獲得していないのにだ
「さて………どうしましょうか」
魔法使いなのでMPは必須。尽きてしまえば勝てなくなるのでMP強化Lv1を獲得した
魔法の強さはINT依存なのでINT強化Lv1も獲得
杖を装備するので杖の心得も獲得しといた
「魔法は………色々ありますね。火、水、風、土、光、闇。と、様々ですか」
他にも氷や雷、重力、呪術、死霊術などもあるが選択出来ない
選択すると《条件を満たしていない》と、出るので獲得するのに何らかの条件をクリアしなければならないようだ
スコタディは考える。どうせ正攻法では戦わない。正攻法で戦っても勝てやしない。ならば、デバフに特化した闇魔法がいいだろうと判断した
「って! そうなりますか」
闇魔法を獲得すると光魔法が獲得出来なくなった。選択しても《獲得出来ません》と表示が出る
闇魔法を取得すると相反する魔法は覚えられないようだ
全ての属性を網羅する。その夢は早くも散ったが困るわけでもない
それはそれで楽しそうだとポジティブに捉えることにした
「火魔法と土魔法も獲得しましょう。回復魔法にも手を出して………一応、無属性の魔法のシールドも獲得と」
他にも僅かだがスキルを獲得したスコタディ。これで準備は万端だと言える
早速、適当なダンジョンで腕試しをしようと心に誓うのだった
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