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勝負の世界は非常なんだよ
「これで三つ目だ!!」
ミロはスコタディがLvを上げたりスキルを獲得して悩んでいる間に三つものダンジョンを攻略した
全てとは言わないがダンジョンの場所を全て網羅している
その上、課金アイテムだがポータル登録出来るアイテムを買って周回しやすいダンジョンは何個か登録しているので直ぐに移動できる状況だった
「勝負の世界は非情なんだよ。うん」
卑怯だが卑怯とは言わせない。ちゃんとルールを落とし込まなかったスコタディが悪いと自分に言い聞かせる
この調子でいけば全てのダンジョンが閉まる夜までに10は攻略出来そうだった
だが、どうせなら最近出来た初心者ダンジョンのなかでも最も難しいダンジョンに挑むことにした
「どうせ私の勝ちは確定してるしね」
ミロと違ってスコタディはダンジョンの外と言えば街しか行動していないと聞いている スコタディは嘘を吐かない
だから、行ってないと言えば間違いなく街にしか行っていない
ダンジョンに行ったことがないのならダンジョンの場所は知らないはず
ダンジョンは移動はしないとはいえ探さなければ見付からない
ミロは一度もどこら辺にどんなダンジョンがあるか等言ったことはない
つまり、スコタディはダンジョン探しから始めないとならない
そう! スコタディの敗北は最初から決まっていてミロの勝利は確定してるようなものなのだ
「勝負の世界は非情なんだよ! ふっふふ~ん♪」
何故、二度も同じことを言ったのか
自分に言い聞かせ言い訳してるとしか思えない
ミロはスキップしながら次のダンジョンへと向かう
余裕の笑みを浮かべて最近出来たダンジョンへと向かったのだ
そもそも、このゲームで戦ったこともないスコタディが自分に勝利宣言してる時点で図に乗ってるとしか思えないのだ
「よしっ! 今日こそ攻略すっぞ!」
ダンジョンに配下の魔物を連れて入ろうとした瞬間に嫌な予感がして後ろに飛び退いた
一歩目から落とし穴があってぽっかりと巨大な扉が開いて落としにかかってきたのだ
「本当にスコタディに似て性格悪っ!」
これだ。これなのだ。この嫌な位置に常に置いてくる嫌な性格が攻略を難関にしてるのだ
入る度にトラップの位置を変えてくる入念さ。人の心理を読んでるような嫌な配置
「でもね? 私だっていつまでも馬鹿じゃないよ?」
アップルは適当に石を拾って投げた。すると落とし穴の次にも落とし穴があり大きな扉が開いたのだ
「ばーか、ばーか。毎回引っ掛かってるから学習してますぅ!」
ピョンピョンと跳び跳ねながら落とし穴を回避していく
そして、二個目の落とし穴を飛び越えて歩いた瞬間、カチッ。と、音がなった
「………三連続ぅぅぅぅぅ!!」
ミロ。四度挑戦するも又しも落とし穴に落ち死亡
「あら? おかえりなさい」
「………ただいま」
何処かのダンジョンで死亡したのだろう。詳しいことは聞く気はないので無視しておく
それよりも自分のスキル弄りに忙しい。やってみるとあれもこれもと手を出したくなってしまって楽しくなってるのだから
「ってか、スコタディはダンジョンを攻略したん?」
「しましたよ」
「へぇ? 私なんてこの短時間に三回もクリアしたよ!」
「少ないですね? 私は七回ですよ」
「え"っ?」
今なんと言ったのか理解が出来ないミロ。いや、言葉の意味は理解しているが理解したくないと言った方が正確だった
まだ、二~三時間程度しか経過していないのに七回も攻略したと言う
そんな到底信じられない言葉を信じたくはなかった
「う、嘘はいけないよ?」
「私が嘘を吐かないのをご存じでは?」
そう。スコタディこと咲樹は嘘を吐かない。少なくとも嘘を吐いた記憶が自分自身もない。それだけ嘘を吐いたことがない
それはミロも重々承知しているのだが、信じたくないものは信じたくないのだ
「ご覧になりますか?」
それはステータス画面の達成項目。何かを達成する度にDPを貰える使用になっている。そこには確かに七回もダンジョンを攻略したことになってるのだ
「………嘘だ」
「流石の私も達成項目は誤魔化せませんけど?」
「い、今から全力で攻略するもん! 手加減してあげないんだから!」
「えぇ。頑張ってください」
スコタディは笑顔で稼いできてくれと見送る。そんなスコタディは焦ることなくどんなスキルがあるか確認したりSNSをチェックしたりと大忙しだ
ここには色んな情報が乗せられていてプレイヤー同士で共有してくれてるのだから
「20回ぐらい攻略すれば勝てますかね? せいぜい勝てない試合を頑張って欲しいものです」
スコタディは優雅に紅茶を淹れて味を楽しみながらのんびりと過ごすのだった
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