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島の中心部に向けて、ロープを辿りながら、ジュールたちは一列になって進んでいく。どこからかグルグルと唸るような音が聞こえて来る。
「今のはなに? 猛獣でもいるの?」
「大丈夫だ、ピストルを持って来ているから。襲って来たらこれで撃退すればいいよ。これ凄く重たいけど」スコットは腰につけたピストルを見せた。
「フリントロック式のピストルは鉛玉一発しか射てない。ちゃんと狙いを定めて、相手に命中させるのは難しいぞ。スコットは射撃経験は?」ハーメルが訊ねる。
「あるわけないよ。お祭りの射的でも景品当たらないんだ。読書は得意だけど運動は苦手なんだっ! だから撃退出来ればいいんだ!」
「ピストルはこう使うんだよ」メービルはピストルを握ると銃口を上へ向けて、トリガーを引く。かちかちと中の火打ち石がぶつかる音はするが鉛玉は出なかった「あら? 弾が出ない。中で根詰まりを起こしたのか、火薬が湿気たのか?」と呟いているとパンと凄まじい破裂音がしてピストルが暴発する。
「凄い音っ! 鼓膜が破けるかと思った」アリサは思わず耳を塞いでしまう。
「耳鳴りが酷い。こんな音がするなんて思わなかったよ」
「みんな、被弾はしてない?」ジュールは心配そうに声をかける。
「俺は大丈夫。危なかったあ」ハーメルは胸を撫で下ろすが、先程のピストルが暴発した音で何かが反応したようだ。グルグルと奇妙な音が霧の中から聞こえて来る。
「やっぱりこの島、何かいるよ」
「確かに、島の様子か変だ。ひょっとしてここがカンゴク洞のある島なのかもしれない」
霧の中からジュウジュウと何かが焼けるような音がして、先程より蒸し暑くなって来た。
「じゃあこの音は魔物の鳴き声か何か?」
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