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君の笑顔が見たいから
帰ってから、俺は気持ちをスッキリさせたくて、まず泣いた。自室のベッドに転がり、枕を顔に押し当てて叫んだりもした。
それを何分続けた頃か、俺は朝のひんやりした空気で目が覚めるような感覚で、すっと気持ちが落ち着いてきて、改めて冷静に考えた。
「俺はヒーローでも何でもない。お前に好きになってもらう資格はない、か」
自分で星の台詞を呟いてみると、気がついたことがある。
走馬灯のように星とのやり取りを思い出していく中で、やっぱり最初に救い出してくれた星は本物で、星の言葉を借りるなら、俺にとってのヒーローだった。
そんな星に恩返しがしたいのもあるが、それだけじゃない。
星に対する気持ちは、もう抗いようがないくらいに大きくなってきていて、星が苦しんでいるなら、助け出したい。
あの、目も眩むような星の笑顔が見たいから。
「俺も、いつまでもこうしているわけにはいかないな」
星のように、いや、星以上にかっこよくならなくては、救い出すことも、さらにその先の望みも叶えられない。
「よし」
その一歩として、俺は部屋を出て、隣室にいる兄の部屋をノックした。
「兄さん、ちょっと頼みがあるんだけど」
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