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第0話 すべての始まりの前日談
黄昏時。
まだこの国に街灯などもなく、すぐ隣の人の顔もわからなくなる闇の時間。
夕暮れと共に、夜の生き物が動き出す。
それは彼ら4人にとっても例外ではなく……
「おい、聞いたか?魔力のない人間が入ってくるんだと」
「うん。ついに…ついに…ついに…だね!」
その言葉にある者は笑みを浮かべ、ある者は凛とした姿勢を崩さず静かに涙をこぼす。
「それで…御名前はなんと?」
「――ユキハと言うらしい。今年度の特待生だ」
4人が集う岡の上の桜のもとに、漆黒のバトルドレスを着こなした青年が合流した。
「おぁ、来たな。ゼロ」
「お前らならここにいると思ってな。ハチ、ほら」
ゼロと呼ばれた青年は4人にひとりの女性が写った写真を見せる。その写真に4人は感極まり言葉を詰まらせる。
静まった空気を断ち切ったのは、木の下で座っていた女性だった。
「利口そうな顔立ちだね。私たちは明日会えるの?」
その言葉に先ほどハチと呼ばれたリーダー格の男は深く頷く。
「そうなるな。今宵は満月だ、しっかり休めよ。ちゃんとお風呂入って、トイレ行って寝ること!あと、歯磨きも忘れるな」
そう軽く茶化すと、ゼロと共に下山していった。その様子を見た残りの3人も解散していくのだった。
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