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蛇
天気がいいと鳥かごを持って庭に出ます。カゴをあけると鳥さんは外に出て庭の周りを飛んだり、歩いたりします。まだ遠くへは飛んでいけないけど、少しずつ元気になっています。庭の木にとまるとパパは「ふぜい」と言い、言葉の意味を勉強しました。
このはとかえでは庭先に座って鳥さんの散歩を観察しています。
ほんの一瞬でした。庭の草むらから「シュッ」と音がしてガサガサと草が揺れました。ちょこちょこと歩いていた鳥がいなくなりました。このはは速すぎで見えませんでしたが、かえでは目の当たりにしました。蛇が鳥さんをくわえてに草の中に戻っていったのです。
「あっ蛇だ」とかえでは叫ぶけど怖くて動けません。
「ママッ」と助けを呼びます。蛇が戻った方の草がかすかに揺れています。
「どうしたの?」と心配してきたママが来た時には草は揺れていませんでした。
「鳥さんが」
「どうしたの?」
「おにいちゃん鳥さんどうしたの?」
「蛇に食べられた」
近所にずっと誰も住んでいない家があります。最近、その家の近くで蛇が見つかったという噂がありました。この間の、暴風のえいきょうかもしれません。それとも誰かが飼っていたペットの蛇が捨てられたといわれています。
庭に蛇がいるとわかったママは蛇たいじの人を呼びました。かえでとこのはは鳥さんがいなくなって悲しんでいます。蛇をたいじするひとらは頑張って蛇をさがしましたが、けっきょく見つけられませんでした。だけど、蛇が通ったあとを探すと家の外に出ていっただろうと言ってくれたのでママも安心しました。パパが帰ってきて、かえでがこうふんしながら見た事を話しました。パパは「鳥さんが食べられちゃったのは本当に残念で悲しいけど、みんなが無事でよかった」と言いました。
空っぽの金魚鉢のとなりに空っぽの鳥かごが並べられました。
蛇がまだ近所にいるのは怖いです。
「シャーッ」
おやっ?とパパとママが庭先で聴き慣れた声に気がつきます。
「シャーッ」
「どうしたのママ?」
「シャーッ」
「あれ?どんちゃん?」
「かもしれないな。いってみよう」
家族そろって庭に出ます。
庭ではかかんな猫、どんちゃんが蛇と戦っています。
「危ないっ」
蛇も負けてはいません。どんちゃんの前足で蛇を倒そうとする攻撃に蛇は口を大きく開けてかぶりつこうとします。このははどんちゃんがかじられるのが心配で目をあけられません。
「シャーッ」
どんちゃんの右前足の一振りが蛇の頭に当たりました。蛇の頭が地面についたときにどんちゃんは足で蛇の首元を押さえつけました。パパが急いでバケツを持ってきて蛇にかぶせて蛇を捕まえることができました。
「おなじ蛇だ」
とかえでが言ったので鳥さんをさらった蛇だとわかり、一安心。
ママがこのあいだと同じ人を呼んで捕まえた蛇を持っていってもらいました。
どんちゃんがいなかったら、庭で遊んでいたこのはとかえでが蛇に噛まれていたかもしれないとどんちゃんに感謝しました。どんちゃんはクルッと回って庭の隅に置いていた魚をくわえて戻ってきました。どうやら、どんちゃんは川の魚を捕まえて生き延びていたようです。捕まえてきた魚を蛇に取られそうになったので蛇と戦いました。
どんちゃんが捕まえてきた魚はまだ生きているようなので空っぽだった金魚鉢に入れて、餌をあげると元気になりました。どんちゃんは別の餌を与えると喜んで食べました。
ママはどんちゃんが帰ってきた事をママの妹に伝えると次の日にどんちゃんは無事、飼い主の元へと帰って行きました。このはもかえでもすごく寂しがりました。でもどんちゃんは飼い主に抱かれると甘えたような鳴き声で嬉しそうにしているので笑顔で見送りました。
「また、今度、連れてくるから遊んであげてね」と言われたので安心しました。
金魚鉢に入れらた魚は金魚鉢には大きすぎました。
「かわいそう」
このはの自分だったら元のところで目一杯泳ぎたいという言葉に皆が賛成したので、川に連れていって放してあげました。
「バイバイ」
夕暮れ時です。近所の公園から太鼓の音が聞こえ、甘い団子の匂いがしてきました。夏祭りが開かれています。家族揃って遊びに行くことにしました。かえでは美味しい綿菓子、このははりんご飴を買ってもらいました。
「ヨーヨーがある!!欲しいな」
「やるかっ」
パパも楽しそうです。
「あっ?」
「あっ?」
ヨーヨーをつる隣に金魚釣りがありました。
「金魚だ!」
「金魚欲しい」
このはもかえでもヨーヨーよりも金魚釣りがしたくなりました。
パパとママは顔を見て微笑みました。
「よしっ!やろう!!」
「そうね、今度はちゃんと世話して家族の仲間で暮らさないとね」
パパとママは共存を学びました。
このはとかえでは、命の大切さを学びました。
「一匹つれたぞ」
「パパーでめきんが取れたよ!!」
「このはすごいじゃない。三匹もつれてる!!」
「チャチャみたいでかわいい〜〜」
終わり
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