3話:音声攻撃のからくり

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3話:音声攻撃のからくり

 涼子は優しく言った。  「澪さんのsns拝読して来ました。もう苦しまなくていいですよ」  ブルーフェニックス、武装福祉組織だ。都市伝説だと思っていたが……。  澪は今更ながら涙が込み上げてきた。  涼子は澪の肩をぎゅっと抱いて、片手で後ろ頭をぽんぽん叩いた。澪は泣き言をぐっとこらえた。涼子に尋ねる  「ケータイの電源切るのに意味はありましたか」  「端末にマイクが二つ入ってます。マイクブロックアプリで片方を封じても、もう片方が会話を拾っています」  澪は尋ねた。  「幻聴工作はどうやってるんですか」  涼子は説明した。  加害者は被害者宅をスタジオ化する事ができる。そして監視画像を無数の線で分割し、座標を作る。加害者は好きな座標から電磁波や音声を発生させる事ができる。音楽用語ではこの座標は『パン』と呼ばれる。  「そして、集団ストーカーの資金源も証明できる」  凪は自分の作ったクレーターに背を向け、監視団に小銃を向けて楽しそうに威嚇していた。バズーカーはほっぽった後である。  「新しい拷問方法を開発して権力者とマフィアに提供し、生産した被害者は人権を持たない実験体として学者仲間に提供してるね。そして研究成果は名声に変えて肥やしにしているコーデリア賞学者、高崎真理さん、あなた死の商人だ」  「何を根拠に」  「もう録音しちゃった。本部に送信済みだ。気の毒だったね」  凪は懐からペンを出してひらひら振った。ICレコーダーだ。  
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