委員長

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委員長

ザッ。 スコップが雪に刺さる。 その女子と僕の目線が合わさる。 「……鏑木くん?」 【グラウンドの幽霊】の正体は、二年C組のクラス委員長だった。 でも、意味が分からない。 こんな夜に、スコップ片手に何をしているだ。 「委員長、何をしているの?」たまらず問う。 「・・・・・探し物。」委員長は俯き気味に言った。 あー。なるほど探し物ね。なら仕方がないね……とはならない。 「ごめん。詳しく聞いてもいいかな?」 もう恐怖心は無い。 「言いたくない。鏑木くんには関係無いから。早く帰った方が良いわ。今夜もまた雪が降るし寒いわ。あと遅いと親御さん心配するわよ。」 予想外の返答が返ってきた。 まさか、逆に気を使われるとは。 「いやいや、委員長。さすがに無理があるよ。寒いのも親御さんが心配するのも、お互いに変わらないよ。」 むしろ、女の子を持つ親の方がきっと心配するだろうし。 「気にしないで。」そう言った、委員長の目には薄っすらと涙の痕が見える。 さすがに見過ごせない。 「手伝うよ。」 そう言った自分に委員長は、「必要無い」「気にしないで」「大丈夫」と言ったが最後には、「ありがとう」と言って僕の提案を受け入れてくれた。 サッカー部の部室から、雪を掘れそうな物が無いか探したら用具入れにスコップがあったので拝借させてもらった。 それから、僕たちは二人で夜のグラウンドで雪を掘る。 何度も、委員長に「何を探しているの?」と聞いてみたが教えてはくれなかった。 「私が迂闊だった。」「私のミスだ」とだけ。 それと、を見つけたら、すぐに声をかけるようにとだけ強く念を押された。決してと。 。 単純作業をしていると、自然と推理してしまう。 悪い癖だ。 ザッザッ。 ザッザッ。 ザッザッ。 黙々と、スコップで雪をかきわけていく。 「それにしてもここらへん、やけに雪が多く無いか?」愚痴に聞こえてしまったかもしれない。 「そうなのよ。どうやら、除雪した雪をここに寄せているみたいなの。………本当に迂闊だったわ。」 詮索を嫌がる彼女には、申し訳ないが何とか答えに辿り着きたい。
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