恋の種

委員長

思考を回転させる。

今あるヒントを整理する。

①2月14日のスコップの音
　雪をかく音。

②2月15日のすすり泣く女
　これは、委員長だった。

③なぜ、泣いていた
　当然それ程、本人にとって大事だからだろう。

④行動が夜
　他人に知られたくない、見られたくない。

⑤集められた雪
　委員長は迂闊だったと言った。

⑥探し物と言った。
　落とし物では無く、探し物と。

………。

噂話が始まったのは2月14日から。つまりバレンタインデーの日。

『2月14日　チョコレートの持ち込みついて』例の書面が頭をよぎる。

なるほど。
僕の中で一つの仮説が構築された。

もし、この仮説が正しければたしかに急務だ。

「なぁ。委員長。」

「何よ。」

「人を呼んでもいいか？」

「ダメに決まってるじゃない！」

「大丈夫。口の固いヤツだから心配いらないよ。」
この手の探し物は、人海戦術が有効だ。

「……………ちなみに、誰を呼ぶの？」

ふっ。僕は自慢じゃ無いがそれ程友人が多い訳ではない。

「道司だけど。」

「＿＿＿＿＿！ダメ！道司君だけは絶対ダメ。」

なっ。

「呼ぶなら他の子にして！」

他の子なんて居ないんだが……。それより、道司のやつ委員長に何か恨まれる事でもしたのか。

「まぁ、二人でも何とかなるだろ。この寒さだ。そう傷(いた)まないだろうし。」

委員長の動きが一瞬止まる。

自分でも無意識に出てしまった失言だったが、委員長の今の反応である程度確信が持てた。