サンタの贈り物

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 今の私が持ってる肩書き。LJK、お母さんの子ども、友だち。数えてみて、ため息が漏れた。  今が大学受験へ向けて最後の勉強チャンスなのは分かってる。それでも勉強に気持ちが向かない。  陰る気持ちを抑えきれず、雪が降り注ぐ公園でただ空を見上げていた。焦燥感に駆られたように勉強をする友人達を横目に、どうしてもがんばりきれない私がいた。 「大学受験で努力できたかどうかで、今後の人生で努力できるかどうかが決まるぞ」  担任の先生の言葉が重々しく背中に乗りかかり、つま先からどんどんと雪に埋もれてしまいそうだ。いっそのこと、その方が楽なのかもしれない。がんばれない私が、この先どうなっていくかなんて簡単に想像できる。  社会の歯車にすらなれず、横道に逸れてしまった人生は……生きている意味があるのだろうか。やりたいことも、学びたいことも、自分が今後どうしたいかもわからない。  ダメダメな人間だな、という実感がますます胸を痛める。  ブーツ越しに何かが当たった気配がして、足元に目配せする。真っ白な雪に埋もれかけていた足の周りには特に何も見当たらない。 ――気のせいか。  と、また上を見上げれば今度は気のせいではない、足に何かが当たる気配。 「もうなによ」  人が感傷に浸ってるのに! もう一度よく、足元を見れば白いまんまる。きつねみたいな顔に、もふもふのしっぽ。汚れた体が雪に馴染んでいたせいで、最初は気づかなかったようだ。
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