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「トウガイ、シャ、コロス!!!!」
本堂の父だった化け物は直径1メートルはあるだろう腕を振り、俺たちに殴りかかって来た。
間一髪避けた俺らはすかさず立ち上がる。
俺らの立っていた玄関はパンチ一発で屋根まで崩壊していた。
「ひ、ヒィ!!」
「立て!!逃げるぞ!!」
俺は、崩れた玄関に落ちていた鍵を拾い、すかさず目の前に置いてあった原付にキーを差し込む。
ーーーーブルルンーーーー
原付は勢いよくエンジンを吹かす。
「掴まれ!!行くぞ!!」
俺はハンドルを奥まで捻り、急発進させた。
「…トウ、ガイ、シャ、ト、ウガ、イシャ、ト、ウ、ガイ、シャ、」
本堂が後ろを確認する。
本堂の父の横にいたもう1人の本堂もまた、化け物へと変化していた。
「な、何なんですかこの島は!?」
「わからない。今はとりあえずあいつらと合流する!!」
俺は無線機を取り出す。
「お前ら、今どこだ??そっちに向かう」
「今は、この島の北東部の山沿い、つまり君たちの島の北西部にあたる位置にいる」
「分かった。そしたら山道の入り口まで進んでくれ。そこで合流しよう。また何かあったらすぐ連絡してくれ」
「…分かった」
俺はハンドルを左に切り、島の東部へと向かった。
ーーーー
山道の入り口に到着した。原付を岩陰に隠し、森の中を見ると、奥の方から、こちらに手を振る灘が見えた。
俺らは灘の方へと歩いて行く。
「なんとか合流できたな」
「うん。無事で何よりだよ」
俺は本堂と、その場に座り込む。
3人もまた無事だが、疲れているように見えた。
「詳しく状況を聞かせてくれ」
「うん。まず亮二くんたちが行った後、しばらく身を潜めてたんだ」
「あぁ…」
「だけど、1人の島民に見つかってしまった」
「…」
「最初は、かくれんぼか??って話しかけて来たんだけど…」
灘はごくんと息を飲み込んで、続ける。
「僕の方を見た途端、見たことない。お前は誰だって言われて、その島民はみるみるうちに化物になって殴りかかってきたんだ」
…俺らと同じだ。この島の住人は全て化物ということか。
「だけど、多島くんが何とかその島民を倒して、ここまで来たというわけだよ」
「多島、お前」
「化物になりきる前に、背負い投げで崖から投げてやったぜ」
「多島くんがなんとか倒してくれて、私たち助かったんだよ」
…多島も化物じゃ、ないよな、??
に、しても。
「おそらくこの島の住人は島外から来た者だと分かった瞬間、襲いかかってくるというわけか」
「島外者を拒む理由は一体何だろう。立ち入り禁止の島にするのと何か関係があるのだろうか」
俺らは一旦休憩を兼ねて、作戦を立てることにした。
「しばらくすれば、おそらく島民全員が僕らを探しに来るだろう。その前に策を練っておきたい」
灘が地図を取り出す。
「僕らはまず、島の北西部に漂着して、東側へと進んで来た。ここから先は、まず島を安易に攻略するために、まず武器が必要になる」
「そうだな」
「武器!?そんな武器が置いてあるところなんてあるんですか??」
本堂がメガネをカチャッとさせて聞く。
「あるじゃねぇか。立派な武器がある場所が」
多島が俺を見て言う。
「あぁ。島の本村にある、交番だ。俺らはまずそこへ行く」
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