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「俺らはまず、交番へ行く」
俺は立ち上がり、そう言う。
「交番、ですか。たしかに、そこで武器を回収できれば、攻略が安易になりますね」
「そうと決まれば、交番へ行くぞ」
続いて立ち上がる多島に本堂が続ける。
「しかし、すでに僕らが島へやって来ていることが知られているかもしれませんよ」
俺は本堂の肩にポンと手を置く。
「あぁ。だから、速攻で倒して、速攻で逃げる」
「な、るほど。多島くんもいれば、心強いですね」
「私たち全員で交番に行くってこと??」
続けて立ち上がった綾野が俺に聞く。
「そうだ。全員で、速攻で片付ける」
そうして立ち上がった俺らは、森の出口へと歩き出した。
ーーーージリリリリリリリーーーー
ガチャーーーー
「はい。もしもし」
受話器を取り、落ち着いた声で話す。
「会長ですか。出ました。島外者が、出ました」
「島外者ですか。特徴と人数は??」
「1人は息子の秀で、もう1人は亮二の姿をしていました」
「そうですか。他には??」
「その2人だけです。だが、亮二らしきやつが無線機で誰かと話していました」
「なるほど。分かりました。ありがとうございます」
そう言って会長は受話器を置き、再びどこかへとかける。
「…もしもし、亮二くんですか??」
「あぁ、会長ですか。どうしました??」
「先ほど北町に島外者が現れたそうです。1人は本堂秀くん、もう1人は亮二くんの姿をしていたそうです」
「…そうか」
「亮二くんは無線機を持っていたそうでまだ他にも協力者がいるようです。しかしその場にいたのは2人。2人でいる場合、指揮を取るのはあなただと考えます。もしあなたなら、立ち入り禁止の島へやって来たあと、まずどこへ向かいますか??」
「…そうだな…」
少しして、また受話器の向こうから声が聞こえる。
「俺なら、まず武器を手に入れるために、交番へ行く」
「なるほど、そうですか。ありがとうございます」
「あぁ。北町か…なるほど…」
「では、失礼致しますね」
そう言って会長は受話器を置いた。
「やはり交番ですか。私もそう思っていました。さて、私も行きましょうかね」
会長は立ち上がり、玄関へと歩いて行った。
ーーーー
「あった、あそこが交番だね」
そう言って無線機を持ちながら、俺は灘と2人で、交番へと近づいていく。
「…いた」
交番の前に、1人の警官が立っている。
その警官は、こちらを見た途端何かを呟き始め、化物の姿へを変化した。
「こいつも、化物か!!」
「あの遠目から島外者だって気づいたってことは、僕たちのことが伝わってるってことだ!!」
俺と灘は、歩いて来た坂を走って引き返していく。
「ダッシュだ!!急げ!!」
俺は灘にそう言いながら、坂を登っていく。
「トウガイシャ、コロス!!」
化物は後を追いかけてくる。
「あと少しだ!!」
坂を登り終え、一周道路まで来たところで振り返ると、化物は数十メートル先のところまで来ていた。
「止まれ!!…今だ!!多島くん!!」
「くらえぇぇぇぇぇっっっ!!!!」
「トウガイシャ、コ、ガァァァァァァッッ!!」
ーーーーガシャャャャャャャャンーーーー
化物が残り10メートルほどのところまで来たところで、1台の原付が化物に突っ込む。
化物は吹っ飛び、崖へと転がって行った。
「ふぅ、なんとか倒したぜ」
バイクのスタンドをかけ、多島はヘルメットを取りながらため息をついた。
「おーい、あったよー!!」
走って来た坂の方から、綾野と本堂が走ってくる。
「でかしたぞ」
綾野の手には、千切れたポケット付きベルトが握られておりそのポケットには、拳銃が入っていた。
「にしても、まさか拳銃がゲット出来るなんて」
本堂がメガネをカチャッとさせて言った。
「何とかな。…だが、ここにしばらくもいられない。とりあえず、先を急ぐぞ」
俺らは道路を渡り、再び森へと入って行った。
ーーーー
「…先を越されましたね」
「…あぁ」
目の前には、壊れた原付が置かれ、道路にはガラスが散らばっている。
「亮二くん。あなたなら、次はどこへ向かいますか??」
「…そうだな。俺なら、次に向かう先は…」
亮二はニヤッとして会長の質問に答えた。
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