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「誰にした?」
と問うと、突然ゴンという音ともに頭を下げられた。
「ごめん。一沙。今まで黙ってたんだけど。私さ、歴女なんだよね。」
は?
ちょちょちょまって。
あの爽やかで運動神経は抜群のくせに勉強がとことんできない瑠璃が、歴女!!
頭ではびっくりマークしか出てこない、
「え、じゃ、じゃあさ!歴史のレポートなんて簡単じゃん!!いいなあ。」
「良くないよ。書きたいことがありすぎて。」
「え、誰推しなの?」
「・・・、し、新選組。」
何故か顔を真赤にしている。
「おお・・・。なんかすごい・・・。」
一世一代の瑠璃の告白に戸惑いを感じたが、思えば瑠璃の趣味など知らなかった。知るにはこの際ちょうどいい。
「別に・・・。」
「じゃ、じゃあさ!誰にするワケ?」
「・・・、ひ、土方歳三!!」
あの顔面偏差値の高い人か・・・。
「なるほど・・。じゃ、私の書く人も決めてよ。」
そう言うとちょっと困ったような顔をしてから、
「・・、吉田稔麿。」
と小さな声でいった。
「だ、誰?その、よしだとしまろって。」
「幕末の志士って呼ばれてる、国のために動いた人で、長州藩っていう、今の山口県の人。」
歴史がだいっきらいな私にでもわかるように説明してくれた。
ひたすら瑠璃が吉田稔麿について話して、私がそれを書く。
気がつけば、空は暗くなっていた。
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