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斬り捨て御免で藩邸へ
気がつくと、そこは真っ暗闇だった。
正確には月明かりのみ、そこにあった。
「ハッ!瑠璃!瑠璃!!」
あたりを見回したが、瑠璃の気配はなくて。
ただ、一つだけ気配を感じた。正確には2つだったけど、一つは初めて聴いた、不思議な音とともに消えた。
その音の方を見ると、
血まみれになった黒くつややかな髪、切れ長の美しい目の袴を着た青年が立っていた。なにより、月夜にきらめく日本刀を持っていた。
近くには、黒い物体があった。それが死体だと気がついたとき、私はつい、
「ヒッ!」
と声を上げていた。その声で彼は気がついたようだ。
「黙ってくれる?斬り殺すよ。」
そう言いながら私の首元に刀を当てた。
ガタガタと体は震える。
その人はそっと刀を鞘に閉まった。
「見られたんだから。ついてきてもらうよ。」
そういうと私の腕を強く握って、夜に掛けて行った。
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