斬り捨て御免で藩邸へ

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真っ暗でよくわからなかったけど、目が慣れてきた、と同時に周りが全部日本家屋だってことに気がついた。 たまにすれ違う人はちょんまげだったり、ポニーテールだったり。 来ているものは袴で。 どうして? なんで時代劇みたいな状況なの? そう思ったとき、タイムスリップという非現実的な言葉が浮かんだ。 なわけない! そんなわけ・・・、ないなんて言い切れる材料がない。 しばらくすると、大きな屋敷に入っていった。 門番は男に敬礼しながら私を怪しそうな目で見ていた。 知らないし。 靴を脱ぐようにジェスチャーされ、靴を脱ぐ。 しばらく長い廊下を歩く。 その間も男は終始無言だった。時折こっちをちらりと見るだけで。 ある部屋の前でとまった。私もピタリと足を止めた。 「晋作、玄瑞に九一。桂さんまでいい年して人の部屋で何やってるの?」 障子を開け放つと、やや狭めな畳敷きの部屋の中に男の人が4人。お酒らしきものを並べてこちらを見ていた。
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