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そこは、ほんとに小さな村だった
けれども…
「居ないな…」
「うん。全然居ないね」
「人が住んでる気配はするのにな…」
全く人が見当たらない
廃村には見えないけど…
しばらく村の中を歩いてると、教会が見えてきた
「お、教会か。とりあえず行ってみるか」
そう言ってウリアンが教会へと向かう
豪勢とは言えない、こぢんまりとした、可愛らしい教会だった
「聖都の近くだからって、なんか特別な作法とかないよな…」
教会の扉を前にウリアンが、顎に手を置き、う~んと考えていると、
「あら、いらっしゃい。まあまあ、旅人さんですか?どうぞどうぞ」
ウリアンと同じくらい?に見えるおばさんが笑顔で話しかけてきた
装いから、この教会の人なんだろう
「ありがとうございます」
そう言って教会の中へと入りながら、
「あの、あなたはこの教会の方ですか?」
と、ウリアンが聞くと、
「はい。私は、この教会を守っている者です。どうぞ、ごゆっくりしていって下さい」
そう言って、教会の奥へと向かって歩いて行ってしまう
「あ、すいません!あの、よろしければ、少しお話を聞かせていただいてもよろしいですか?」
ウリアンが呼び止めると、
「はい?勿論でございます。どのようなお話でしょう?」
そう言って戻って来てくれた
「ええと…。俺達は特になんの宗教の信者でもないのですが、大丈夫ですか?」
ウリアンがそう言うと、そのおばさんはニッコリと笑って、
「大丈夫ですよ。ここは、どんな宗教の人でも、どんな宗教ではなくても、誰もが自由に過ごせる教会ですから」
そう言った
へぇ
そんな教会もあるんだな
「そうですか。安心しました。ところで、村の人達を全く見かけなかったのですが…」
村の異様な光景についてウリアンが聞くと、
「ああ…そうですね。驚かせてしまいましたね
。実は先週の豪雨で山の一部が土砂崩れを起こしてしまったのですが、村の畑の半分程を巻き込んでしまいまして…。雨が上がってからは、毎日村人総出で復興作業をしているのです。そのせいで、日中は村から人が消えたように見えるのかもしれませんね?」
おばさんは、そう話してくれた
土砂崩れ…
俺とウリアンがビオンの方を見る
「う…。山なんだから、木があるだろうし…多分大丈夫だとは思うけど…」
「おばさん!俺達もそこ案内して!きっと役に立つと思う」
俺達の言葉に不思議そうな顔をしながらも、
おばさんは俺達を案内し始めた
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