魔法使い

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「あそこの森には、たまに魔物が出ていたんだがね。最近、魔物が町まで出てきているようで…。被害が出始めたんで討伐をお願いしたんだよ…」 「どんな魔物なのか情報はあるんですか?」 ウリアンが、今回の依頼者である町長に話を聞く 「それが、情報が少なくてね。何しろ、魔物に遭遇したと思われる奴は、変わり果てた姿となって発見される事が多くてな。ただ、その前に発見出来た者は、息耐えるまで何かが見えているようだった」 「幻覚ってことですか?他に何か情報は?」 「皆まともに話せる状態じゃないから、詳しい事はわからないんだが…」 困った顔で町長が続けた 「これは噂と言うか…。もう迷信みたいなもんだが、この森には昔から魔法使いが棲んでいるという話があってな。もしも本当にそんなものが居るのなら、何か知ってるのかもしれないが…。まあ、この森は広いから、入ってしまって迷わないように、人を遠ざける為に作られた迷信だとは思うがね」 「幻覚か…。」 森の中を歩きながらウリアンが言った 「なあ、ウリアン。町長が言ってた、森に棲んでるっていう魔法使い?どう思う?」 「こんなに近い町の人達に、その存在すらよく分かってないのに、昔から棲んでいると言われているんだ。これは居る可能性大だろ」 魔法使いって、ひっそり暮らすものなのかな? 「じゃあ、その魔法使い探すの?」 「そうだ。この森に棲んでるのなら、森の事は熟知しているはずだからな。何か魔物について知っているかもしれない」 確かになぁ でも、もしそうなら、なんで魔物を放っておくんだろう 攻撃とかは得意じゃないのかな? ああ…。だから、ひっそり暮らしてるのか 「ウリアン、魔法使いに会った事ある?」 「ないな。昔は沢山居たって話だが、今は伝説級の存在だからな」 それにしても、広い森だ これ、魔法使い探し出せるのかなぁ だいぶ森の中まで入って来たが、人の住めそうな気配のある物は、一切見当たらない 「もっと、森の奥深くに棲んでるのかなぁ」 俺がそう言った時、 何かが飛んできた 「カリス!」 「うん!」 ウリアンと戦闘態勢をとる 飛んできた物は、黒に近い緑色をした何かの実のようだった 4個程飛んできた実の様な物は、俺達を囲うようにプカプカと浮かんでいる これが魔物なのか…本体が別に居るのか… 周囲にも気を配っていると、 プシュ~ プカプカと浮かんでる実の1つが膨らみ、弾けた様に萎み始めたと同時に、中から花粉の様な、果汁の様な物を吹き出した !! 「カリス!なるべく吸わないようにしろ!」 「分かった!」 次々と他の実も何かを噴出する 何だこれ… 飛び散った物が僅かに髪に付着したが、特に何の変化もない これ自体に害はないのか…? どんどん周りが霧のように霞んでいく 「カリス、傍を離れるな」 「うん」 ウリアンと背中合わせに構える 周りの木々も見えなくなってきた時、霧の中に何かが見え始めた ……本体か? ぐっと剣を握り締める 徐々に姿を表したそれは…… …え? 「………父…さん?」 父さんだ ……そんなはずない 「カリス?どうした?大丈夫か?」 後ろからウリアンが声をかけてくる ああ…そうか これは町長が言ってた幻覚か… 凄いな まるで本物の父さんみたいだ 「ウリアン…父さんが居るんだ」 そう言った瞬間、俺は腕をぐいっと引っ張られ飛ばされた 何だ? 何が起きたんだ? 「…くっ、…かはっ」 ?…苦しそうな…… 「!…ウリアン!」 急いで立ち上がり、霧の中へと戻ると、 ザンっ 巨大な花の茎なのか、根なのか… ウリアンが斬ると、周りの霧は晴れ始めた ガクッ 「ウリアン!大丈夫?ウリアン!」 ウリアンの右肩の辺りと左腹の辺りから、血が流れ出ていた
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