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「…くっ、はっ…大丈夫か…カリス」
「俺は…何ともない。ウリアン…ごめん…ごめんウリアン。すぐに町まで連れてくから!」
「うっ…ぐっ…」
担いだだけでも苦しそうだ
急がないと!
その時…
足音!?
まさか…仲間が?!
俺1人で…戦えるか?
「おい、ここで何を騒いでる?さっさと森から出て行け」
森から…出て行け…
良かった
「ごめん。今、魔物と戦ってたんだけど、俺のせいで、この人大怪我をしたんだ。急いで医者に診せたいから、もう森からは出て行くよ。もしも、町で知ってる医者が居るなら、教えてくれないかな?」
俺より少し下かな?
俺がそう言うと、その子は、
「知ってる医者なんか…居ない…。さっさと行って診てもらえ」
俯いてそう答えた
この子の知らない医者なら居そうだな
「ありがとう。じゃあ、行くね」
そう言ってウリアンを担ぎ直した拍子に、服の中にしまっていた首飾りが出てきた
そのまま歩き出すと、
「おい!ちょっと待て!」
さっさと行けと言っていたその子が引き留める
何か注意事項とか?
振り返ると、
「お前…その首飾りは……?何処で手に入れた?」
正直、首飾りの話なんかしてる場合じゃない
けれども、あまりにも驚いてるその顔に、何か特別な理由があるのかと思い、
「これは、代々家に伝わる、まあ家宝みたいな物なんだ。ごめんな。今急いでるから」
それだけ言って再び歩き出すと、
「…待て。その人を降ろせ。簡単な止血と痛みを和らげる事くらいは出来る」
「……え?ほ、ほんと?!」
ウリアンを急いで降ろすと、その子はウリアンの体に手をかざした
その子の体から白い光のようなオーラが出て、かざした手からも光が出ている
少しの間そうして手を離すと、光も消えていった
さっきまで息も絶え絶え《たえだえ》苦しそうだったウリアンは、すっかり落ち着いた呼吸となり、静かに眠っているようだ
「…す…凄い!治してくれ…」
「治したんじゃない!言っただろ?簡単な止血と痛みを和らげただけだ」
俺の言葉を遮って、その少年が言った
「…そっか。でも助かったよ。あのままだったら、医者に見せるまで耐えられなかったかもしれない。痛みが和らいだお陰で眠る事が出来たし、一時的にでも止血出来たのなら、少しは体力も温存出来る。君に会えて良かった。ありがとう!」
そう言って再びウリアンを担ぐと、
「そいつの傷から、植物の毒が入っている。町の医者よりは…俺の方がなんとか出来るかもしれない」
「ど…毒?!……君、何とか出来るの?」
「確実じゃない。でも、町の医者よりは可能性がある。付いて来い」
そう言って歩き出したその子の後に付いて、俺はウリアンを担いで、森の奥へと歩き出した
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