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翌日、ビオンが言ってた通り、ウリアンが目を覚ました
「ウリアン!良かった…」
ぼ-っとしながらウリアンが周りを見渡して、
「…ここは?俺は…助かったのか…?」
驚いたように言った
「うん。ビオンが助けてくれたんだ。ビオンは魔法使いで、ウリアンの止血をして、痛みを取って、毒の解析をして、解毒してくれて…だから、もう大丈夫だよ」
「…そうか。会えたのか。ビオン…突然すまなかったな。助けてくれてありがとう」
「べ…別に」
ビオンが少し照れ臭そうに、視線を逸らす
「ウリアン。ごめん!俺が油断したせいで…。あんな幻覚なんかに騙されて…。ビオンに助けてもらえなかったら…今頃…」
「…7年だ。7年ぶりに親の顔見たら、そりゃ動けなくもなる」
そう言ってウリアンは俺の頭を優しく撫でた
俺達の会話を聞いていたビオンが、
「ベラドンナ。別名悪魔の草。あれは、かなり毒性が強くて幻覚作用もある。この森の植物が人殺しに使われてたとはな…」
そう言った
「悪魔の草…?そんなのが、この森に生えてるのか…。本当はビオンを探して、情報収集してから戦おうと思ってたんだけど…。でも、すぐに会えて本当に良かったよ」
「毒なだけじゃない。ちゃんと使うと、体の不調を治す時に使えるんだ。それより、俺を探してって…。お前、コウリスの名前も知らなかったのに、なんで探してたんだ?」
本当に植物に詳しいんだな…
「魔物討伐を頼んできた町長さんに聞いたんだよ。昔から、この森には魔法使いが住んでるって噂だって。本当なら、この森の事色々知ってるかもしれないって聞いたからさ」
「噂か…。本当なら…だろ?そんな曖昧な話で、魔物が出るって森に入って来たのか?」
「ふっ…。実際、居ただろ?誰も本当の事を知らない…。なのに、昔から語り継がれている。そこには、こんな立派な森がある。コウリスは、森に棲む者という意味…だろ?ぴったりだと思ってな…。それに、どっちにしたって魔物退治はしなきゃなんないしな」
ビオンの言葉にウリアンが、そう答えた
そうか…
ウリアンは、あの時すでに、コウリスの名前を持つ魔法使いが居ると思っていたんだ…
「よ…よし!俺、ウリアンの快気祝いに、なんか美味しい物買って来る!」
「ふっ…。気持ちは嬉しいが、まだあまり食欲はないな。出来れば果物とかにしてくれ」
「あ…そっか」
俺達の会話を聞いていたビオンが、
「果物と少しの野菜なら家にもある。それ以外で必要な物だけ買って来るといい。俺はウリアンに回復魔法をかけておく」
そう言って手招きして、果物や野菜を見せてくれた
「へぇ~。これならウリアンには十分だ。でも、俺は出来れば肉が食べたいなぁ。その辺にいる動物は捕まえてもいいのか?町に買いに行った方がいいか?」
「別に捕まえても構わない。好きにしろ」
「分かった。じゃあビオン、ウリアンの事よろしくな!」
そう言って出て行こうとする俺に、
「あ、おい!魔物が昨日の奴だけとは限らない。怪我をしても何とかここまで辿り着ける範囲で探せ」
わざわざビオンがそう言ってくれた
「分かった!行って来る!」
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