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偽りの
「はぁ…」
まあ、森で何かがあったら精霊達が知らせてくれるだろう…
「さてと…」
家の中に戻り、ウリアンの元へと向かう
「ウリアン、今日から少しずつ回復魔法をかけていく。でも、俺はそんなに魔力があるわけでもないし、すぐには治らないからな?」
「ああ…。こうして命を救ってもらっただけでも十分だ。すまないな」
「出来れば、直接傷が見えた方が集中しやすいんだが、動けるか?」
「ああ、大丈夫だ」
ゆっくりと傷口を見せたウリアンに集中する
今日はこの位にしておいた方がいいかな
「終わったぞ。痛みはどうだ?傷自体治りきってないから、また痛みが出てきてるようなら、和らげる魔法かけとくけど?」
「いや、全然大丈夫だ。不思議だな。痛みはあまり変わらないのに、体が楽になったよ。ありがとうビオン」
こいつらは…
なんでそんなに簡単に口に出すんだ?
俺は…言われ慣れてない
ウリアンが、ゆっくりと体を起こす
「おい、まだあまり無理をしない方がいいぞ」
「いや、本当に楽になったよ」
「……ウリアンは、ちゃんと分かってるんだな。あいつは…カリスは、コウリスの名前にまるで反応しないどころか、スピロやスリロスって言葉すら怪しかったぞ…」
俺は、あの首飾りを見ただけでピンときたってのに…
「ははっ。あいつは、そういう奴だからな。昔の話とか、どうでもいいと思ってるんだ。まあ、あいつの親が、そういう接し方をしてたしな…」
父親と7年会ってないと言ってたよな…
「…カリスの親は死んだのか?」
「ああ。あいつの母親は5歳の頃。父親は7歳の頃、それぞれな…」
「それで、叔父であるウリアンが託されたのか。でも良かったな。ウリアンがカリスの子供にスリロスの話をしてやらないと、スピロ・グラディアートルの偉大な功績は語り継がれないところだった」
「そうかもな…。でも、本当に大切なものは、ちゃんと魂に刻み込まれてるから大丈夫だ」
本当に大切なもの?
魂に?
「どういう事だ?」
「そうだな…。ビオンなら多分分かり易いだろ。代々受け継ぐ素質ってやつだ。ビオンは、生まれた時から魔力があっただろ?」
「そうだな…。物心ついて、使い方を覚えるまでは、ちゃんと使った事なかったけど、多分そうなんだろな」
「だから、そういう素質みたいなものを感じ取りやすい。今や魔法を使える者など、ほとんど居ないのに、自分も自分の親も使えるんだから、スリロスの話を聞いても、自分の祖先の話だと想像しやすいんだ。けれども、カリスが受け継いでいるものは、そういう分かり易いものではない。その素質がない者からすると分かるんだが…。素質を持って生まれた者こそ気付きづらいものなんだ」
……素質がない者?
「ウリアンは、カリスの叔父なんだよな?だったらスピロの血を引いてるんじゃないのか?その素質をどの位引き継ぐかの差はあるだろうが、ウリアンが素質のない者には、当てはまらないだろ?」
「ビオン…。俺は、カリスの叔父じゃないんだ。だが、カリスが微塵も疑わない程、叔父として生きているんだ」
凄く幸せそうな顔で、ウリアンがそう言った
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