0人が本棚に入れています
本棚に追加
魔法使い
二百年に一度、悪は甦り世界は恐怖に包まれるだろう
しかし、悪に対抗するべく者達が、必ず現れ世界は平和を取り戻すだろう
「よ~し。カリス誕生日おめでとう!そんなに豪華な食事じゃないが、いっぱい食べてくれ」
「ありがとう!ウリアン」
目を閉じて手を組みお祈りをする
目を開けるとウリアンが、
「相変わらず、長いお祈りだなぁ」
と笑っている
「だって、いっぱい感謝する事あるからね。じゃあ、いただきます!」
鶏肉に魚に果物…
「どれも美味しい~」
しばらくお酒だけを飲みながら、俺を見ていたウリアンが、
「お前、ほんとに美味しそうに食べるよな」
そう言って嬉しそうに笑う
「だって本当に美味しいよ。ウリアンも、あったかいうちに食べた方がいいよ」
「ははっ。そうだな」
ようやくご飯を食べ出したウリアンが、
「12歳か。俺達が旅をし始めて5年か…。色々あったけど、だいぶお前も頼もしくなってきたな」
はははっ。と笑いながら、少し寂しそうな顔をする
「ウリアン。父さんは、ああ言ってたけど、別に無理して戻って来なくてもいいって意味でしょ?どうしても行かなきゃならない場所も、急いでやらなければならない事もないんだから、一度父さんと母さんのお墓、拝みに行く?」
俺の言葉に、ほんの少し驚いたような顔をしたのに、
「いいや駄目だ。まだお前には教えなければならん事が山のようにあるからな。こんな中途半端で帰ったら、兄さんをがっかりさせてしまう」
溜め息をつきながら、そう言った
「そりゃ俺は、まだまだ一人前じゃないけど、墓参りされて喜ばない人は、いないんじゃない?」
俺の話を聞きながら、ウリアンが後ろの人達に注目するよう、視線を送ってくる
「とうとう隣の国では、人里まで魔物が出てきたらしいぜ?」
「この国だって、いつそうなるかわかんねぇな」
「なんでも、もっと遠い国では、言葉を話す魔物が出るって噂だぜ?」
「どうなってんだよ?もうこの世界は、おかしくなっちまったのか?」
「別に俺達が行かなくても、やらなくても、誰も文句は言わないだろうが…」
「そうだね。これを聞いて戻っちゃったら、確かに父さんに、がっかりされそうだ」
「よし、じゃあ明日は隣の国へ向けて出発だ。いっぱい食べとけよ?」
「うん!」
最初のコメントを投稿しよう!