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だが、どこをどう見ても、出口らしきものが見つからないのだ。このまま放置されれば窒息死、もしくは餓死するのは明白である。ムカつくことだが、従っておくしかないのだろう。スマホも落としてしまったらしく、ポケットを探っても何も持っていない。これでは外に助けを呼ぶことさえできないのだから。
幸いにして、ミッションはただアンケートに答えろというもの。私は紙に目を落として、そして。
――①だけはあり得ないし、当然⑥もないわ。なんで私が消えなきゃいけないの?もっともっと、消えるべきゴミなんかたくさんいるってのに。
息子に甘すぎる夫も、出来損ないの息子も、私を悪者にしてぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる母親もっみんなみんな腹立たしい。よくわからないが、このアンケートに答えたら、誘拐班がそいつらをみんな消してくれるということだろうか。
ならば。
――⑤。私以外のゴミどもは、みんな消えればいいんだわ。
悩んだ時間は短かった。すぐに、理由を書き記す。
これもシンプルだ。
『邪魔だったから』
どいつもこいつも、私の人生に影を落とす人間ばかり。邪魔をするうざい奴らばかり。みんな私より劣る、才能も能力もない屑ばかりのくせに。
さらさらとボールペンで文字を書き終え、机から少しだけ離れたその瞬間だった。
「!?」
がちゃん、と音がした。見れば、両足が鉄製の輪でがっしりとロックされているではないか。
「な、何これ!?」
ういいいいいいいいいいいいいいいん、とどこからともなく機械の駆動音のようなものが聞こえてくる。嫌な予感しかしなかった。私はどうにか両足を戒めから外そうとするものの、鉄輪は私の足首をがっしりと戒めていて、まったく外れる気配がない。むしろ隙間なく締めているせいで、引っ張ると痛みを感じるほどだ。
機械音が近くなってくる。たらり、と首筋を冷たい汗が伝ったその時、床のタイルの隙間から何かが飛び出してくるのが見えた。
それは、針だ。
錐のような太い針が、回転しながら徐々に、私のお尻の方へ迫ってきているのである。このままいけば何が起きるかなど明白だった。
「いやああああああああ!やめて、やめて!何するの、話しが違うじゃない!」
がちゃがちゃと音を立てて逃れようとする私。
「アンケート、答えたでしょ!?要らないのは私じゃない私じゃない私じゃない!私なんかより、死ぬべきゴミがいっぱいいるじゃないの!そいつらを殺しなさいよ、なんで、なんで私がこんな目に遭ってるのよ、ねえ、ねえ、ねえ!!」
針が近づいてくる。振動がどんどん股間に迫ってくる。逃げようとしても、両足が開いた状態で固定されているのであってはどうしようもない。
ぶつん、とストッキングと下着を貫通する音がした。次の瞬間。
「い、ぎ、ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
激痛とともに。
針がずっぷりと、私のお尻の穴に潜り込んできたのだった。
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