1人が本棚に入れています
本棚に追加
「可惜さんのお祖母ちゃんが亡くなったみたいなので、今日、可惜さんは欠席です」
梅雨の始まりのころ、担任の先生が朝のホームルームでそう言った。
するとみんなが拍手をした。「死」は人生のゴール、お葬式はエンドロール。盛大に祝わなくてはならない。
僕は可惜さんがいないのかと思って、少し寂しくなった。利発的で勉強もできて、ショートカットで可愛いので、少し気になっている。
遠くにみえる都心のビル群まで静けさをまとった雨の日の学校。僕はぼんやりと可惜さんのことを考えながら、一日の授業を終えて部活に向かった。
僕はバスケ部だ。まだ一年生なので試合に出ることは基本的にない。今は夏にある大会にむけて、先輩たちのサポートをしている。
最初のコメントを投稿しよう!