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それから数日後の夜。
仕事帰りに駅前の大通りを歩いていると、向こうから来る二人組の男性が視界に入った。
どちらも私と同じくらいの年齢だ。一人は小太りで、服装ももっさりしているが、もう一人はカジュアルなファッションが似合っていて、顔立ちもさわやかな感じ。
とはいえ、だからといって「つい目で追ってしまう」というほどのイケメンではない。それなのに、彼のことが気になるのは……。
服装が違うせいで一瞬わからなかったし、そもそも今回、なぜか私の体は全く震えていない。つまり霊感には反応なかったのだが、よく見れば、大学病院の中庭で出会った幽霊ではないか!
「あっ!」
驚きの声と共に、道の真ん中で立ち止まってしまう。
それが理由なのか、あるいは、彼を見つめていた視線に気づいたのか。
彼も私の方を見て……。
目が合った途端、こちらを指差しながら、私以上の大声で叫び始めた。
「いた! 夢の中の美女が現実に!」
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