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それからは、地獄は人間界と変わらないような風貌になりビルがたち、公平な裁判が開かれ罪を犯した人びとは、更生のためにボランティア活動や保護猫保護犬活動を通して社会と関わる。
いじめも犯罪として扱い、いつの間にか″いじめ″という言葉を聞かなくなった。
代わりに、暴行罪とかそういった罪状を聞くことになるが。
貧困による一家心中も完全にはなくせないが、経済対策を見直し徐々に減ってきている。
ようやく地獄での生活が落ち着いてきて、私たちは遂にふたりだけの式を挙げた。
式は、想い出の森に似た金木犀の咲く森にした。
けっきょく、約束を果たせていなかったのが心残りだったのもある。
『そう云えば、あのときなんて云おうとしたの』
そう問われても舌が奪われて伝えられないから、永遠の秘密にしておくことにした。
金木犀の咲く木の下で真っ白なドレスとタキシードを見に纏い、永遠を誓う口付けを交わした。
指には、鈍色のペアリングがキラりと光っていた。
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