2話 暖かな日差しと温もり

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「ごめんなさいね。本を読んでいたのに」 「ああ。構わん」  縁側にお盆を置き、それを挟むように私達は座ってお茶を啜る。ノエルも一緒に来て、私の隣りで丸くなり、黒い毛並みに日の光を集めてぬくぬくとしている。 「さっき野村さんが声をかけてくれたのよ」 「そうか」 「今日の将棋は勝ったんですか?」 「ああ」 「今年のネモフィラは綺麗に咲きましたね」 「そうだな」  口数は少ないが、私の話には相槌を打ちながら夫はお茶を飲んでいる。時折の会話とお茶を啜る音が庭に馴染んでいく。そよ風の心地よい時間が流れていた。
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