肆 異文化理解学習

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「折角の異文化理解学習だし、みんなで力を披露し合おうか」 鬼市くんたち鞍馬の神修勢が異文化理解学習で神修へ来て初めての詞表現実習。 白砂の敷き詰められた実践練習場に集まった私たちに薫先生がうきうきした顔でそう言った。 「薫先生! しつもーん!」 「はい慶賀」 あてられた慶賀くんは腕を組んで首を傾げる。 「どっちの神修も勉強してることなんて似たり寄ったりじゃねぇの? 披露するも何もないだろ」 「確かに慶賀の言う通り、カリキュラムはうちとほぼ変わらないね。でも妖には妖、人には人にしかない力があったよね。分かる人〜?」 妖には妖、人には人にしかない力……? あ、それって。 一番に手を挙げた恵位くんが指名されて立ち上がった。 「妖力と授力です」 「そ! その通り」 薫先生がパチンと指を鳴らす。 妖力、妖が生まれ持つ力。 二学期に漢方薬学の授業で豊楽先生が軽く妖力について教えてくれたことを思い出した。 "言葉通りにする力"の言霊の力に対して、妖が持つ妖力は"イメージ通りにする力"。 妖は妖力を使って力をどういうふうに使いたいのかをイメージすることで言霊の力と同じような力を得ることが出来る。妖力を扱うことは言霊の力を扱うことより27倍難しいと言われているらしい。
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