肆 異文化理解学習

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またもや一番に手を挙げた恵衣くんが指名される。 「言霊の力とは別に宿る第二の力の総称で、言霊の力では対応しきれない部分を補うことが出来ます。基本的には人間の親から子へ遺伝しますが、稀に突発的に発現することもあります」 「素晴らしいね。みんな拍手〜」 ぱらぱらとやる気のない拍手が送られる。さっきの鬼市くん達との落差が凄い。 「恵衣が言った通り、残念なことに授力は人間にしか宿らない。だから妖側にすれば学ぶ意味はないんだけれど、どんなものなのかを知っておけば、いつか来るかもしれない二種族が協力する時にとても役に立つでしょ? という訳で来光、巫寿。できる?」 もちろん、と鼻を鳴らした来光くんが立ち上がり前に出た。少し遅れて私も前に出る。 鞍馬のみんなが私たちを興味深そうに見上げた。 「あ。言い忘れてたけど人間側では授力の話はタブーだから、むやみやたらに人前では話したり聞いたりしないこと。これについては質問もナシね。そういうもんだと思っといて」 ふーん、と信乃くんが唇を尖らせる。 授力の話がタブーになったのは先の戦い、13年前の空亡戦の終結からだったはずだ。授力保有者が空亡に次々と狙われたことで、神職たちは授力を持っていることを隠すようになり保有者証明の提出も自由になった。 どうして薫先生はその理由を話さないんだろう? 質問もしちゃダメって……。
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