致死量の氷砂糖をわけあって。

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 透の大きな両の手のひらが、おれの首を覆い、ぐ、と力がこめられる。 「うっ…!ぐ、ゔ、…は、…あ、ゔっ!…〜〜っ!」  ふたたび始まった律動は、激しさを増していく。そして的確に、強く、おれのいいところを擦っていく。  首を絞められ酸欠の脳みそに、快感だけが叩き込まれるようだった。気持ちいいこと以外、何も考えられなくなるような。  ぼやけて飛びそうな意識を、強い快感が引き戻す。絞める手のひらは汗ばんでいて、ぎりぎりと音の聞こえそうなほど。いつもより力が強い、余裕ないのかな。気持ちいい。  死んでしまうかもしれない。けどそれで、それがいいんだ。だいすきな人に、透に、その大きくてちいさな両手のひらに、おれのいのちは握られている。  性行為の快感に匹敵するほどに、その感覚が気持ちいい。 「……ゔ〜〜っ、く、は、ぐぅ、…っんう、」 「かすみ、……俺、もう、」 「…っ、ん、」 おれも同じだ、一緒にイキたいと言おうとしたが、うまく声が発せられない。当然だ、だからかわりに透の腰にきゅ、と脚を絡めた。これで伝わるはずだ。 「おま、……煽んな、」 「ふふ、…っ、ぐっ!?」 さいごに向けて速度を増す動きとともに、首を絞める手にも力が加わった。痺れるような快感が、息苦しさのせいかより敏感に感じられる気がした。苦しい、苦しいのに、口元が緩むのを抑えられない。 「ゔぅっ、あっ、あ、あ!…と、…も、ぃく、」 「……くっ、」 「っ!…〜〜〜〜〜っ…!」 声にならない嬌声とともに、びくんと身体が跳ねる。なかに注ぎこまれる感触、その熱に、なにかが満たされていく感覚を覚えた。 と、同時に透の手がそろそろと離れていく。 「…〜は、げほ、ごほっ!は、は…んぅ、」 呼吸が整う前に、透の唇が重なった。さっきまで首を掴んでいた手はおれの頬を包み込むように覆っている。絡まる舌が、熱い。控えめな水音とともに、今度こそ脳みそが蕩けていく。ように感じた。  ふわふわと感覚が霞んで、意識がとろとろと沈んでいった。
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