彼のロジック

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 のどかな3月の昼下がり。 「なに、それ?」  先ほどから小冊子とシャーペン片手にうなっている俺の手元を彼がのぞきこんだ。 「あ、これですか?ナンプレです。先生知りませんか?」  そう言って彼に小冊子を見せる。9×9のマス目に1~9の数字がいくつかランダムに印刷されていて、それ以外の空いたマス目には3分の1ほど数字が書き込んである。 「知らないなあ。パズル?」 「そうです。この81マスを1から9の数字で埋めていくんです、タテ、ヨコ9マスを必ず1から9で埋めるのがルールです。数字がダブったらアウト、単純だけどはまるんですよー。特に最後の一個がピタッとはまった時のカタルシスと言ったら……」 「へぇ、それでどんなふうに進めて行くの?」 「まずは印刷された数字をもとに確実にマスにおさまる数字を探します。ここだったら5が入っているので、タテヨコはもう5は入りませんよね」 「……なるほど」
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