喪女の夢のような契約婚。

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「今日からは、急すぎます」  サポートを引き受けると決めた時点で、同居する覚悟はできていた。それでも、今日の今日では、精神的にも物理的にも準備ができていない。 「急なのはわかっている」  凡子は、ひとまず先延ばしにできそうだとホッとした。 「明日なら可能か? 俺が深夜近くに仕事を終えて、そこから、迎えに行くことにはなるが」 「お疲れのところ迎えに来ていただくのは悪いです」  さらに先延ばしにできそうだと、内心喜んだ。 「そうなると、また次の週末になる。前日だけを準備にあて、叔父達に会うことになっても問題ないのか?」 「それは、無理かもしれません。ご挨拶を、その翌週にしていただくのは難しいですか?」  蓮水から、「なみこは本当にそれで良いのか?」と、問いかけられた。 「私は、構いませんが……」  蓮水は少し不機嫌な表情になった。 「俺との同居に抵抗感があるのは理解できる。だが、なみこがそうやって先送りにすればするほど、次の更新がお預けになる」 「は!」  凡子は、目を見開いて両手で口を押さえた。 「私が、間違っておりました。今すぐ、こちらへ泊まり込むための準備をいたします。いったん、帰宅してもよろしいでしょうか?」 「ひとまずは、一週間分ほどの着替えと、化粧品など身の回りの物があれば良いだろう。運ぶのを手伝うよ」 
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