シーズン1

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 主な内容は、五十嵐室長と、親が決めた婚約者が、プラトニックなデートをするショートストーリーだ。婚約者の名前は『七海子』にしている。七海子は深窓の令嬢で、結婚するまで清い関係でいるのが当たり前だと思っているから、五十嵐室長もEDを気に病む必要がない。七海子は大学生で結婚もまだ少し先になる。お互い、恋人というよりは兄妹に近い感情で一緒にいる設定だ。 『五十嵐室長はテクニシャン』は、出張先で出会った女でDT卒業をすまそうとする五十嵐室長の奮闘がコミカルに描かれている。凡子が書いているのは、妹のように大切にしている婚約者を紳士的にもてなす五十嵐室長だ。凡子は、勝手にサイドストーリーを書きながら「この二面性が最高」と、盛り上がっているのだ。  昼食は交代で行くので、基本一人だ。優香に教えてもらったフレンチを食べにいく。ランチの時間帯は、美味しいフレンチが三千円ほどで食べられる。もちろん、SNSで発信するためだ。凡子自身の収入から考えると贅沢な昼食だが、月曜日は特別なので、いつもより高めの店を選んだ。  優香には、『男におごらせるための店』と紹介された。しかし、筋金入りの喪女である凡子が、男性から昼食に誘われるはずがない。たとえ、凡子がおごると言ってもついてきてもらえないだろう。  凡子は、ビルの地下にある警備会社社員用の更衣室で、制服の上着を脱ぎ、カーディガンを羽織った。
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