天泣

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天泣

輝く夜の空絵事に想いを()せる 貴方っていつまでも変わらないのね 瞬きすら惜しく思うこの時間が まるでコーヒーにミルクで溶かす様な 儚く切ない(かじか)む心 白く鈍い空に重なる僕の想い (ささや)くようなそんな淡く脆い冬 いつまで経っても臆病な者です 力を抜けば暖まるように 一瞬ではあるけど ここに留まっていられないんだ だけどね、鉛のように動けない 今、この瞬間だけが 僕が地に足をつける事が許される時間 雪が溶け始めた宵に黄昏(たそがれ)る事象 いつまで経っても踏み出せない (わずら)ってたってしょうがないのに 可惜夜(あたらよ)と思う気持ちで押し潰される 尊く(いつく)しむ心 無常に流れる時間と共に 春の匂いも光風(こうふう)に乗せて それでもまだ震える小さき者です 鮮やかに彩る灰色の空に 強張(こわば)って加減が出来ない そうしている内に胸の和らぎが過ぎてく だからね、少しだけ力を抜いて あゝ今だけは 向かい合えるだけの時間を許してほしい 何故だろう 想いが溢れるのは いつだろう 気持ちに嘘をついたのは 何故だろう この気持ちが恋しいのは 誰だろう 抱きしめてくれるのは 愛され愛したいと思う程に 崩れて(こら)えきれない まるで天泣(てんきゅう)のように心が流されてゆく 今、この瞬間だけは 僕だけの 恋を知る事を許された時間だ 降り積もる雪の中で爽やかな空間 雨が降ろうとも変わらない 訪れるだろう春を待つ
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