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#04
「行ってらっしゃいませ。ご主人様」
「行ってくるね」
昨日は色々とあったがなんとか今日を迎えれた。
特にこれといって何もないと良いけれど
「おはよう。昨日はありがとね。お陰で助かったわ」
「おはよう、別にいいって。また誘ってよ?」
「嬉しい。ありがとう」
朝、登校で最初にあったのがジェシカだった。
昨日一緒に遊びに行ったので自然な流れではある。
「はぁ…」
教室に入り、彼女と楽しそうにするアランを見る。
本来あの彼女は私になる筈だったのに…と嫉妬してしまう。
「エリム、そんなに落ち込んでどうかした?」
「ジェシカには関係ないよ。私だけの話」
「そ、そっか」
ジェシカが心配している。
ここは実は乙女ゲームの世界で私はそこにイケメンと付き合いたくて別の世界から転生してきたけど男子が彼女持ちだったなんて絶対に信じてもらえないだろうし、バラしたらバラしたで色々と面倒毎になりそうなので口が裂けても言えなかった。
「そうそう。今日は魔法の実技授業よ」
「知ってるよ。外でしょ」
今日は外で魔法を使った授業だ。
正直言って魔法含めて授業の方は特に何も心配はない。
ゲームをやり込んだのでパターンは把握できているからだ。
魔法も昨日使った風魔法みたいに自然と使っていけばいい。
剣や魔法がある異世界が好きな人にとってこの状況は夢みたいだとは思うが私はイケメン目当てであってそこには全くと言っていい程、興味がないのであまり乗り気ではない。
というか授業めんどくさい。
「行きましょう」
ジェシカと共に外に出る。
もう既に外には生徒が沢山いる。
「どれぐらい魔法覚えた?」
「俺まだ全然〜」
「僕もう水魔法使えるよ!」
生徒の皆は魔法の話題で盛り上がっている。
私の中に入りたいが、もう既に輪ができてしまっているのと今の気分的に入りにくい。
「ほんとここの男子は騒がしいわね」
「そ、そうだね」
でもジェシカが今隣にいるのでクラスで孤立はしていないから大丈夫だ。
「静粛に!」
魔法の教師が来た。
この人から私たちは魔法を教わる。
「今日は火魔法を教える。全員、杖を持ちたまえ」
生徒全員は制服のポケットから杖を出す。
「えー。まず、杖を持ち…自信の魔力を杖に込め火を脳内でイメージするのだ。そうしてあのモンスターの形をした的に向けて火を放て。アラン、やってみろ」
「はいはいはい」
「こら!はいはせめて2回…いや1回!」
「アランったら〜」
生徒の多くはアランのギャグで爆笑していた。
「全く…授業中にふざけるとかどうなのよ」
「いいんじゃ…ないかな?先生もノリツッコミしちゃってるぐらいだし…」
「そういう話?」
ジェシカは授業中にギャグを入れてくるアランに呆れていた。
私は別にアランはあれでも好きだったので文句は何も言えなかった。すると
「あ!」
アランの放った火魔法が空に上がって何処かへ行ってしまった。
「何をしている!」
「すみませーん…やっちゃった」
アランは笑って誤魔化そうとした。だけれど
「あの火が何処かに当たってしまったらどうする!?」
「あ」
「アラン!何をしてしてしまったんだ!」
飛んでしまった火が何かに当たってしまったら大変なことになってしまう。
それに気付いたアランは焦った顔で後ろを向いた。
「わ…私、水魔法と風魔法ちょっと使えます!なので先生は生徒全員を…」
「エリム、大丈夫!?」
「大丈夫。私を信じて」
「…えぇ。待ってるわ」
本来ならここは上級生や教師が出てくるところではあるが、ゲームの愛着からしてアランを守りたかった私は前に出てしまった。
出たところで付き合える訳ないのに。
「わ…分かった…アラン、後で職員室に来るのだ」
「はい…」
私は急いで火が行った方へ走り出した。
まだそんなに遠くまで行っていない筈。
「どこだろう…」
気付けば森の中に入っていた。
ここにいれば下手すればモンスターに命を狙われてしまうかもしれない。
でも、戦おうと思えば戦えれるので今はそんなのどうでもよかった。
「ギ…ギギャアアアア!」
モンスターの鳴き声が聞こえる。
「行ってみよう…」
大声だったのでもしかすれば巨大なモンスターかもしれない。
思い当たるとすれば…
「いた!」
そうこう考えている内にモンスターを見つけた。
間違いない!蛇のモンスター、ハイパースネイクだ。
しかも背中に焼け跡がある。
これは間違いなくアランの魔法が当たってしまったに違いない。
塒を巻いているので恐らく何かを巻いているのだろう。
恐る恐るハイパースネイクに近づいてみると
「くっ、殺せ!」
「女騎士!?」
なんと女騎士がハイパースネイクに捕まっていた。
ゲームだとこの女騎士は男子キャラと一緒にモンスターと戦うイベントで助っ人で助けてくれるキャラなのだがイリス同様、ゲームだと名前を明かされていない。
なので正直そんなに知らないキャラである。
こんなところで会うなんて思いもしなかった。
「い、今助けるよっ!」
流石に放ってはおけなかったので私が使える火魔法を使い、ハイパースネイクを一撃で撃退する。
本来、ハイパースネイクはゲームでは最強モンスターではあるのだが、私ぐらいにこのゲーム、この世界を知っていればハイパースネイクであろうともすぐに倒せれる。
「ふぅ…危なかった」
「大丈夫…?」
「あ…あぁ。立てる」
女騎士は立ち、私の方を向いた。
「お恥ずかしいところを見せてしまった…すまない。服装を見る限りフロンティア学園の学生か…本来、学生は私が守るべき立場なのだが…まさか逆に助けられる側になってしまうとは。辱い」
「私は平気だよ。寧ろそっちが大丈夫なのか気になるよ…」
「私は大丈夫だ。…すまない。名を名乗ろう。私はベルリス。騎士だ」
「私はエリム、よろしくね」
女騎士の名前はベルリスであると今、知った。で私もエリムと名乗った。
「エリムか…この恩、一生胸に刻もう。助けてくれた礼だ」
「そんな大袈裟な…」
「エリム、貴方に忠誠を誓おう」
「…え?」
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