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「大丈夫、本当に最初から説教する気はなかったから。今のもちゃんと、寸止めというか、手加減するつもりだったし。……えっと、実はフィーの気持ちもトウジ君から聞いていてな? だから、適当なところで止めるつもりだったよ」
「うっさいわ木瓜! 阿保! 馬鹿! 俺の言う事も聞かへんシュバリエなんかもう嫌いや!」
「あぁ。本当にちょっと落ち着いて」
泣きながら喚くオフィーリア相手に、今度はシュバリエの方がおろおろしながら対応している。
そうしてシュバリエは、暴れようとするオフィーリアの腕を、なるべく優しい力加減で掴むとそのまま引き寄せ、抱き締めてから背中をさすってやる。
「落ち着いて」
「……」
それでもしばらくは泣きじゃくっていたが、ようやくの事で大人しくなったのを確認してから、シュバリエが息を吐く。
「本当にごめんな、フィー」
「……」
まだ無言のままだが、先刻まで羅列していた、小学生並みの罵詈雑言を吐く気はすっかりなくなったようだ。
「えっと、シェイカー」
「あ、はい」
あまりに驚いたため、何のリアクションも起こせなかったシェイカーは、急に指名されて咄嗟に返事する事だけが精一杯だった。
しかしシュバリエはそんな事にも構わずに続ける。
「ごめんだけど、フィーの事を医務室まで連れて行ってあげてくれないか? 俺はこのまま、アンダーテイカーとぐふぅっ」
不自然に言葉が止まったのは、オフィーリアがみぞおちに一発喰らわせたからだった。
シュバリエは一旦オフィーリアから離れ、お腹をさすりだす。
「絶対もう説教しないって誓うから。普通に話すだけだから、取り敢えずで的確に急所狙って殴るの止めてくんないかな? フィー。……ほら、シェイカーも、早めにフィーを連れて行ってあげて」
「あ、あぁ。うん分かったよ。……オフィーリア、こっち」
シュバリエからオフィーリアを預けられ、素直に頷いたシェイカーは、取り敢えず連れ立って医務室へと赴いたのだった
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