第二章・―完璧超人と問題児達と―

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「それで、アンダーテイカーは?」  非番だろうが有給だろうがここに呼べ、という事だろうか? 初対面のラキですら息を呑む展開だというのは、良く見ればシュバリエの目は一切笑っていない事からしても良く()()る。 「……有給中、かな」 「あぁそう。今すぐ呼べない?」  オフィーリアが抱える事情を知っていて、且つアンダーテイカーとシェイカーがやらかしたという事実に、珍しく怒り心頭なシュバリエには、下手な言い訳は通じない。  いつもは明るく助け船を出してくれるエルファリスですら、困り顔を全面に押し出しておろおろするばかりだ。  こうなると()()っていたからこそ、敢えてオフィーリア自身、倒れた時には僅かな理性をフル回転させてトウジを呼んだというのに、まさか本人から全て暴露されるとはと、どう行動すべきか思案する。  トウジももう、いつもの態度に戻っていたため、てっきり言う事を素直に聞かずに行動した末、案の定倒れてしまったのを許してくれたのだと思っていたのだが、どうやらそうではなかったようだ。  オフィーリアの知らぬところでシュバリエに逐一報告した辺り、まだまだ相当静かな怒りを胸に抱いていそうで、こちらも非常に恐ろしい。  有給中、ずっと一緒にいた筈なのに、一体いつシュバリエにチクリを入れたのか? 今となってはオフィーリア自身、油断しまくっていたと反省せざるを得ない。 「た、多分まだブライダルで相談中なのかと」 「それは承知しているけど」  これはまずい。  このままではシェイカーが圧されてアンダーテイカーを召還されてしまう。  折角シュバリエを呼ばず穏便に済ませようと画策したというのに、アンダーテイカーが説教されるのでは意味がない。 「ていうかさ、俺はシェイカーにも……」  そこまでシュバリエが続けたところで、考えるより先に思わず身体が動いてしまった。  さりげなく詰め寄るシュバリエとシェイカーの間に、身を呈して割り入ってしまったのだ。 「……オフィーリア?」  低い声音で、しかも愛称ではない方で呼ばれてしまった。  物凄く恐ろしいのだが、庇ってしまった以上は覚悟を決めて、意見を述べる。  顔を上げたオフィーリアは、絞り出すように言い放つ。
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