第二章・―完璧超人と問題児達と―

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「シュバリエ……!」  全員が声のした方を見ると、そこに立っていたのは他ならぬアンダーテイカーであった。  アンダーテイカーは急いできたのか、息を切らしながらも走り寄り、シェイカーとの間に割って入る。 「アンダーテイカー……」  あまりの予想もしていなかった展開振りに、シェイカーも二の句を繋げない。  一体誰が連絡したというのか、オフィーリアが見回すと、呆れたような表情でいるラキが、段だら模様に誠の一文字が施されたケース入りスマホ片手に、目配せするのが目に入る。  どうせならば騒ぎの要になっている張本人を呼んで、一気に片をつけようという算段らしい。  どうせ本人召還が免れない未来ならば、いっその事誰かから呼び出されるよりは、自らの意思できたと思ってもらえた方が、シュバリエからの印象も多少は違ってくるだろう。  一件についてはラキも思うところがあったらしく、かなり真剣に問題と向き合ってくれていたため、この判断は悪くないと言える。  シュバリエがオフィーリアを無条件で護りたいというのは、あくまでもブルー家の過去がもたらしたエゴに過ぎないのだ。  その点を理解しているから、オフィーリアもシュバリエには強く出る事が出来ない。  全ては自分のために動いてくれている。  いつもいつも、シュバリエ自身の事よりも、周りの気持ちや境遇を優先して、他者の扱いにでも率先して気を遣ってくれる。  だからこそ、オフィーリアが自身を傷付けた際にでも、本気で怒ってくれるのだ。  それはシュバリエが、オフィーリアが自分を犠牲にしてでも、周りの名誉や持っている物全てを護ろうとする。そういう難儀な性格なのを知り尽くしているから――。 「シュバリエ、シェイカーは悪くない……! 悪いのは俺一人なのだ! だからどうか、この件で処分を下すのは、俺一人だけにして欲しい……!」  今までこの場にいなかったにしては、やけに話の筋が通っている弁解っぷりに、僅かに首を傾げたオフィーリアだったが、疑問に対する答えはアンダーテイカーが即座に出してくれた。
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