第二章・―完璧超人と問題児達と―

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「別に、お前からの謝罪を期待していた訳じゃあない。特に必要、という訳でもないんだしな。……ただ、外野からの報告ではなく、お前かシェイカー、どちらかからの報告は欲しかったかな、とは思っていたよ」  そう告げるシュバリエは実に残念そうな表情で、という事はシェイカーも、シュバリエにはそんな話をしていなかったという事実が伺えた。  謝罪は求めていないが、話は欲しかったというならば、それ即ち、形だけでも真摯な態度を見せてもらえたら許していただろう、という事かと少し納得する。  張り詰めた空気が辺りを支配する。  誰もが口出しを出来ないでいる状態で、口火を切ったのはアンダーテイカーであった。 「……報告をする事に関しては、シェイカーがそうしようというのを、俺が止めたのだ」 「……は?」  途端にシュバリエの語調が荒くなる。  事情を理解した上で、シュバリエに対して最低限礼儀を重んじようとするシェイカーを止めたとは何事かと、明らかに非難する色が見て取れた。  そんな、シュバリエが放つ殺気に圧倒されつつも、アンダーテイカーは真正面から見据え、はっきりとした口調で言った。 「必ず俺の方から出向いて謝罪するからと、渋るシェイカーを説得したのだ。……しかし、事件や結婚式の打ち合わせが重なってしまって、どうしてもすぐにそちらへ行ける都合がつかなかった」  成る程。アンダーテイカーもそれなりに成長はしたようで、シェイカーを巻き込まないように自分だけがシュバリエの下へ赴くつもりであったらしい。  それが不幸にも、仕事やら用事やらが重なってしまい、遂にこうしてシュバリエの方から出向くまで、訪問は叶わなかったという事なのだろう。  理由が分かれば何の事はない。行動しようとしていたならば、話は違ってくる筈で、それでオフィーリアはちらりとシュバリエを見た。
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