第三章・―指南役vs完璧超人―

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「……言い訳はそれだけか?」  だがシュバリエはかなりの度合いで容赦がなかった。一通り聞き終えてから短い息を吐くと、腕組みをしながら瞳を伏せる。 「どちらにせよ結果はこの通りだ。お前に覚悟があるのならば話は早い」  腕組みをほどきつかつかと歩みよると、右腕ではなく左腕を振りかぶる。  シュバリエの利き手は左だ。いつもならば手加減をするために右手を主に使用しているのだが、今回は容赦なく本気でいくつもりらしく、アンダーテイカーもそれを理解した上で抵抗もせず、ただ身構えた。  ――そんな光景を目の当たりにした瞬間、オフィーリアの中でナニかがぷつりと、音を立てて切れたような気がした。  これは駄目だ。  そう自覚するより先に、堰を切ったように瞳から大粒の涙が堪える間もなく零れ落ちる。 「……で。……何で、俺の言う事聞いてくれんの……!? シュバリエの阿保ぉぉぉ! シュバリエなんかもう嫌いやぁぁ! もう一生口利いたれへんからなぁぁぁ……!」  後はもう、感情の制御など出来る筈もなく、気が付けばオフィーリアは、()()の目も沢山あるというのに、恥も外聞もなく大声で泣き出すという暴挙に出てしまっていた。 「……え!? あ、オフィーリア!? 一体どうしたんだ、フィー! ……あ、そうかしまった! えっと。ちょっと、落ち着いてくれフィー! 大丈夫だから!」  オフィーリアの泣き声に気付いて振り向いたシュバリエが、どうしてこうなったかの理由を理解したのか、慌てたように弁解しだす。  一方で、初めて目にするオフィーリアの醜態に、残りの面々は驚きを隠せなかったり呆れたり、呆気に取られていたりと様々だ。 「嘘やん! あんなけ俺が言うたんに! 説教する気満々やん! 俺言うたやん! もう()ぇて言うた! 何で俺の言う事聞いてくれへんの!?」  何とか宥めようとするシュバリエを睨み、尚も涙を流しながらオフィーリアは反論する。  何なら近寄ってくるシュバリエを殴りそうな勢いでいるのだが、今のところまだ手は出していない。  そんなオフィーリアに、困った表情を隠さないシュバリエが応えた。
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