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基本的には低血圧で慢性的頭痛を抱えているオフィーリアは、これでもかというくらい眠りが浅く、シュバリエが隣に寝にくる度に目が覚めてしまう。
その度に思うのだ。契約主の安眠は護っても、俺のプライバシーや安眠は護らんのかいな……、と。
勿論、最初の頃はあの手この手を使って抵抗した。
だがその度に上手い事躱されるか逆に抱き枕状態に陥ってしまうか、或いは結局敵わないで一緒に寝るという選択肢しかなくなるため、最近は最早、シュバリエを起こすどころかベッドから落とす事すら諦めてしまっている。
そんな自室での出来事である。
「……」
しばらく無言のまま観察していたが、定期的な呼吸をしているところからして、シュバリエは深い眠りについている事が理解る。
いつきたのかは分からないのだが、今夜はオフィーリアをベッドから落とさず、且つ抱き枕にして安眠妨害もしなかったところだけは大目に見てやろうと、小さく息を吐いて天井へと視線を戻した。
ルフィナはともかくも、毎回シュバリエがやってくる気配に気付いているトウジも、敢えて黙って闖入者を許している筈だ。
見た目も中身も完璧超人であるシュバリエも、オフィーリアからすればちょっと明るく、ユーモア満載な、ただの従兄弟に過ぎない。
周りに助けを求める気も毛頭ないオフィーリアとしては、下手に動いて無駄に疲れる事もないだろうと瞬時に判断する。
シュバリエとて悪気はないのだ。
ただ少し距離感がバグっているだけで、そんなシュバリエの優しさに、オフィーリアが救われた事も一度や二度ではない。
だからオフィーリアも、あれこれ口答えや何かをしたりしても、心の底ではシュバリエを尊敬し、本当の意味で慕っている。
ベッドヘッドに設置してある時計を見る気力もなく、珍しく再びの睡魔に襲われたため、ゆっくりと瞳をとじる。
大体の場合翌朝には姿が消えているので、今度もそうなのだろうと、オフィーリアも眠りについたのだった。
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