あまからしょっぱ

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易い配置。そして完全なバリアフリー。 どこも明るく清潔だった。 近所の診療所とは全然違う。 その時小学生だった林でさえ『ここは病人や怪我人 の方が主役な場所なんやな』と感じた位だ。 それを思い出すと。 急に、納得してしまった。 あのアトム君は。 患者を大切に迎え入れる病院の、子なのだ。 だから、あんなに人気者なのだ。 ただ親が金持ちで、頭が良いからだけではないのだ。 「どんな奴なん? イバっとおん?」 「いや。 多分、ちゃう。チラ見だけやけど。 キャラメルの絵みたいなん」 「ええ? グリコのマッチョか?」 「んなワケないやろ! 赤い箱やなくて。黄色い方や!」 「エンゼルマーク? ミルクキャラメルの天使かあ?」 檀上から、一瞬目が合ったアトム君を思い出す。 怒ってはなかった。それよりも。 『自分を知らんヤツがおる』 それを楽しむような。 面白がるような。 くるんと大きな瞳が輝いて。林を見たのだ。 入学式の翌日からもう、通常の授業開始になった。 進行もかなり早い。 中高一貫校らしく。 高校2年でカリキュラムを終わらせ。 高校3年は進学準備になるらしい。 しかも。 大学進学だけでなく。 海外提携校への留学や。 技術職への体験修行とか。 芸能・美術・音楽とか幅広くあって。
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