あまからしょっぱ

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オレの親、山口のお父さんが主治医やって。 色々お世話になったんや。 そんでまあ、ちょい知り合いやねん。 そや。 山口は家で『あっちゃん』て呼ばれてんやで。 キャラメルよりはエエんちゃう?」 「判った。 あっちゃん、やな」 「勝手に呼ぶなや!」 ここで授業開始のチャイムが鳴らなければ。 延々コントみたいな喋りが、続いていたかも 知れない。 席に付いて授業の準備をしながら。 山口は、ほんまにもお~と頬を膨らませる。 でも。 思い出し笑いをしたくなるほど。 楽しい休み時間だったのは、間違い無かった。 中高一貫6学年あるけれど。 1学年3クラスだけだ。 だから数か月もすれば、その学年の有名人は 固定される。 そして様々な学校行事が、中高まとめて実施 されるので。 他学年の有名人でも、全校に知れ渡る。 気付けば。 いつも笑顔で優等生な山口くんと。 直球元気印の林くんと。 身長も許容量もデカイ神田くんの3人組は。 すっかり有名人になっていた。 でも。 食べ物のスキキライがあるように。 どうしても相性が合わない、と言うコトが あるのが人間だ。 ある日。 『体育の授業が無い日でも体操服で過ごし。 登下校さえも体操服姿の者がいると聞いた。 これは規律を乱す行為では無いか』 と言う父兄からの抗議があったのだ。
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