あまからしょっぱ

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まばたきするのも忘れて、固まっている。 「いやあ。おもろい奴やなあ。 全然ノーチェックやってんけど。 エエやん、なあ。林くん。 手始めに秋の文化祭、手伝うてみるか?」 「是非お願いしまっすっ!」 生徒会メンバー補強として。 山口と神田に、目を付けていたところに。 思わぬダークホースの登場だ。 1年A組の担当から『なんとか、ふわっと誤魔化 せんかなあ?』と制服の件を相談された野田は。 これで山口と神田に貸し作ったろ、と企んでいた。 生徒会役員は、中3からの参加になるけれど。 学年ごとのパイプ役が必要なのだ。 「ははは! 元気なんが一番や!」 野田の豪快な笑い声が、響き渡った。 「おもろいコトになったなあ」 スキップしそうな程、林はご機嫌だ。 「水曜、3人で生徒会室行こな」 「オレ、無理や。 水無月までは、陸部が第一優先や」 神田は陸上部で長距離をしている。 部員数もギリギリな弱小部で。 合同体育大会で、それなりの結果を出さない と同好会に格下げになる可能性がある。 だから。 2人の視線が、山口に注がれる。 「え?オレ? いやや! 目立つコトしたないもん」 「あっちゃん、もう十分目立っとおやん。 今更、何しても一緒やで」 「コイツの監視役が居らんと。 生徒会に迷惑掛けたら、野田さんのカオ 潰してまうやん。
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