あまからしょっぱ

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ソファでは3番目の姉、愛子がネイルを整えていた。 濃い目の化粧でスパイラルパーマ。 姉弟でも全然雰囲気が違う。 「ちゅーるあげる為に、ネイルやり直すん? 愛ちゃん、優しいなあ」 「当たり前やろ。 どんなオトコよりも。 シオが一番良えオトコや」 「愛ちゃん、 ウチの学校の野田さんて、知り合い?」 「のだ?」 「うん。今3年で。 こないだまで生徒会長しとった人」 「デカくて。 ちょい色黒めの奴? あーなんか、ぼんやり覚えとおワ。 あいつ、年下やったんかあ。 フザケとんなあ、もお」 姉の雰囲気から。 野田は、姉の夜遊び仲間のひとりだったの だろうと。山口は察する。 「その野田さんが 『お姉さんによろしく』て言うてた」 「何か絡まれてるん? 大丈夫?」 ネイルの手入れを止めて。 姉の愛子は、真面目な表情を向ける。 大切な弟を真剣に心配していた。 山口は、にこっと笑顔を返す。 「そんなんちゃうよお。 ただ、生徒会の手伝いに誘われただけや。 愛ちゃんみたいに、上手に人生楽しまんとな って言うてた」 「ナマ言うやんけ~」 ケラケラと笑いだす。 「まあ、野田からの誘いなんて。 別に気にせんでエエけど。 なあ、あっちゃん。 せっかく色々考えて、新しい学校で始めるて 決めたんやから。 何んかしてみるんも、エエんちゃう?
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